<プロボクシング:東洋太平洋ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇30日◇東京・後楽園ホール◇観衆1275人

 ボクシングの東洋太平洋ミニマム級1位の田中恒成(19=畑中)が、国内最速記録を更新するプロ4戦目での東洋王座獲得を果たした。王者原隆二(24=大橋)を10回50秒、レフェリーストップによるTKOで下した。陣営は、次戦で世界王座に挑戦し、WBC世界ライトフライ級王者井上尚弥の持つ国内最速記録(6戦目)更新を目指す方針だ。田中は戦績を4勝(2KO)とした。

 一進一退の打撃戦で迎えた9回、田中のギアが一気に上がった。強烈な右アッパーで原をのけぞらせると、コーナーに追い込み、速射砲のような連打。あと1歩でKOこそ逃したが、続く10回、勢いそのままにコンビネーションで試合を終わらせた。WBCライトフライ級王者井上、前同フライ級王者八重樫らの記録を更新。4戦目での東洋王座獲得を鮮やかに果たした。

 18戦無敗の王者を下し、ミニマム級国内最強を証明も、陣営の肩車は「大げさ」とやんわりと拒否。自然体の新王者は「10回はここで引いてはだめだと思って勝負にいった。強い原選手に勝てたことは自信になる。次が世界王者との対戦になっても、今まで通り頑張りたい」と力を込めた。

 高校4冠の実績でプロ転向し、デビュー戦では世界ランカーに勝利。「中京の怪物」と称され、期待を集めてきた。主要4団体で世界ランク上位につける原を破ったことで、次戦での世界挑戦も現実味を帯びてきた。今年4月に井上が作った6戦目での世界奪取の記録について、畑中会長は「ぜひやりたい」。来春の実現を目指し、交渉に入る意向だ。東京初見参となった若き才能が、その実力をアピールした。【奥山将志】

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜県多治見市生まれ。小学5年時にボクシングを始め、中京高では高校4冠。13年11月に畑中ジムからプロデビュー。162センチの右ボクサーファイター。中京大学在学中で、家族は両親と兄、妹。