<新日本:東京ドーム大会>◇4日◇東京ドーム

 IWGPインターコンチネンタル(IC)選手権は王者中邑真輔(34)が挑戦者の飯伏幸太(32)を下し、2度目の防衛を果たした。

 飯伏が仕掛けたおきて破りの「ボマイェ」に、中邑が完全に切れた。自身の必殺技で挑発してきた相手の顔面に拳を連打。会場の熱気が最高潮に達する中、最後は後頭部に強烈なボマイェをたたき込んだ。大接戦の末にベルトを守ると「負けるかも、死ぬかもって。もう少しで真っ白い灰になるところだった。あんなにヤバイ特別な相手はいない」と激戦を振り返った。

 独自路線で、唯一無二の存在感を築き上げてきた。共闘するオカダが12年に米国修行から帰国し、IWGPヘビー級戦線をけん引し始めると、自らは存在意義が不明確だったICベルトを輝かせることを追い求めた。ダニエル・グレイシーら海外選手、桜庭和志、ノア丸藤正道らを次々と撃破。昨年の東京ドームでは、ファン投票で伝統のヘビー級戦を抑えメーンを務めるほどに、その価値を引き上げた。そして、迎えた通算14度目の防衛戦。トランプに例え「ジョーカー」として刺激的な相手を求めた。そこに浮上したのが飯伏だった。初対戦した13年のG1公式戦。この日とは反対に、挑発的な顔面への蹴りで、飯伏を切れさせた。怒り狂ったようなパンチの連打を受けたが、それをさらに上回る攻撃で圧倒。タイトル戦以外の試合では異例の年間ベストバウトを受賞する名勝負を展開した。実力を認める相手だけに「すごい試合ではなく、ヤバイ試合がやりたい」と宣言し、リングに立った。

 試合前日の3日には大きな刺激も受けた。母校の青学大が箱根駅伝で初優勝。「最高の気分のままで試合に臨める」と、後輩の活躍に背中を押された。

 昨年はオーストラリア、英国、台湾、米国、カナダと5カ国・地域で試合に出場。世界からのニーズもさらに高まっている。IC王座を「何でもありの通行手形」と言い切る。勝利後のリングでは、ファンの期待通り「イヤァオ!」と絶叫。今後については「ベルトに決めてもらいます」。中邑の輝きは増すばかりだ。【奥山将志】

 ◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日、京都・京丹後市生まれ。青学大ではレスリング部に所属。02年に新日本に入門。同年8月の安田忠夫戦でデビュー。03年12月、史上最年少の23歳9カ月でIWGPヘビー級王座獲得。04年に棚橋とのコンビでIWGPタッグ王座も手にした。得意技はボマイェなど。188センチ、104キロ。血液型A。