新入幕の東前頭13枚目英乃海(26=木瀬)に、幕内の魔術がかけられた。

 日大の後輩で同12枚目遠藤(24=追手風)との対決に敗れ初黒星を喫した。

 仕切りから勝負は始まっていた。先に手をつけて待っても、遠藤はなかなか手をつかない。「体重移動をしていて、前後に揺れているように見えた」。幻影を見たような気分だった。英乃海は3度手をつき、ようやく立ち合いが成立。だが、なすすべなく寄り切られると「全然ダメですね。ダメというか、顔じゃなかったですね」と白旗を揚げるしかなかった。

 日大時代、1学年先輩の英乃海は、1度も遠藤に勝ったことがない。「自分の成長を確かめたい」と意気込んでいたが、後輩のすごみを肌で感じることになった。「いや、やっぱり、それなりのオーラがありますよ。やる前から(相手を)弱気にさせるオーラ」。今まで感じたことのない空気。幕内力士は、こんなにも違うのか-。「尋常じゃないですね。最初は意気込んでいたけど、すごすぎて、こんなにすごいのかと思って…」と、萎縮してしまった。“土俵際の魔術師”とも呼ばれる遠藤の術中に、完全にはまってしまった。

 最後に「いい経験になりました」と謙虚に話した英乃海。今後は、どんな魔法が待っているのか。