東前頭14枚目の遠藤(25=追手風)が、二重の意味で価値ある白星をつかんだ。

 同7枚目と番付が7枚上の松鳳山(32=二所ノ関)に逆転勝ちした。

 松鳳山の一気の出足に、西土俵際まで後退し俵に詰まった。相手の左のど輪押しで上体ものけ反る劣勢。左足も浮いて絶体絶命のピンチだった。ここで奇跡の反撃。のど元に食い込んだ相手の左腕を右手ではねのけると、結び目付近のまわしに手が届く。一本立ちの右足を、反時計回りにクルリと反転させ、逆転のとったりで仕留めた。

 これが幕内では3度目となる、自己最多タイの11勝目。立ち合いは相手の出足に劣勢だったが「ちょっと呼吸が合わなくて『立とうかな』と思ったら、相手が早かった」と話し、あとは「流れの中で勝てて良かった。反応が良かった」と勝負どころを振り返った。白星を積み重ね、14年春場所の自己最高位(東前頭筆頭)に近づくためにも、貴重な11勝目だった。

 さらに「興行面」でも貢献大の白星となった。遠藤とともに2敗だった関脇高安(26=田子ノ浦)が敗れ、全勝の大関豪栄道(30=境川)が勝ったため、仮に遠藤が敗れていれば、豪栄道の13日目の優勝が決まっていた。八角理事長(53=元横綱北勝海)も「優勝を(14日目以降に)遅らせたわけだよね」と話し「11勝は立派。(ケガの)不安がないから、今日みたいな相撲が取れる」と評価していた。