ドタバタ劇も収束-。この日、豪栄道と日馬富士が敗れれば、史上ワーストの10勝5敗での優勝の可能性もあり、そうなれば史上初となる朝乃山の新入幕幕尻優勝や、十両に敗れた遠藤にも優勝のチャンスがあった、大荒れの場所。優勝の行方は混沌(こんとん)としたが、終わってみれば落ち着くところに落ち着く結末となる。

 番付社会の大相撲。優勝の可能性が、今場所唯一の横綱-大関戦となり、千秋楽結びの一番を取る横綱日馬富士と大関豪栄道の2人に絞られたことに、協会幹部も胸をなで下ろした様子だ。もちろん若手の活躍は土俵を沸かす要因だが、やはり締めるのは番付上位の横綱、大関陣。3横綱2大関が休場した中、残された2人が優勝をかける状況に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「3敗、4敗と(星的には)悪いとはいえ、最後の最後まで頑張って責任を果たしている。休場者がたくさん出て、どうなるんだろうと、優勝争い(のライン)は下がるだろうとは思ったが、2人とも立派。務めを果たして責任感がある。特に日馬富士。番付通り、やはり力の差だ」と評価した。

 この日、幕内後半戦の審判長を務めた二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)も「2人に(優勝争いが)絞られて千秋楽が面白くなってきた」と笑顔。豪栄道の相撲を「よく残した。執念だよ」とほめる一方で、日馬富士についても「1人横綱で、よくここまで頑張ってくれた。横綱の意地があるでしょう」と高く評価していた。