【ベネチア3日=柴田寛人】開催中のベネチア国際映画祭に出品されている映画「ノルウェイの森」(トラン・アン・ユン監督、12月11日公開)が、世界36カ国に配給されることが分かった。33言語に翻訳されている村上春樹氏の世界的ベストセラー小説が原作だけに、1日の映画祭開幕前までに30カ国と配給契約。開幕後のプレス試写を見た6カ国の関係者と新たに契約した。11日の閉幕までにさらに増える可能性が高く、独特の世界観を映像美で表現した日本の代表作が、本格的に海外進出を始めた。

 2日夜にはワールドプレミア上映が行われ、約1100人のファンが観賞。主演松山ケンイチ(25)菊地凛子(29)水原希子(19)やトラン監督もレッドカーペットを歩いた後、同席した。上映終了後、約3分間のスタンディングオベーションを受け、感無量の様子。松山はトラン監督とガッチリ握手した。「拍手された時、大成功だと思った。これから海外に配給されますけど、たくさんの方に見ていただける確信を得ました」。周囲と抱擁を繰り返した菊地も「原作が広く読まれているだけに、反応が良かった。映画が今後、どう広がるか楽しみです」と話した。

 松山は08年9月に主演映画「デトロイト・メタル・シティ」でトロント国際映画祭に参加して以来、2度目の海外映画祭を経験。「ぜひまたここに来たい。違う作品でも、海外の方と一緒に見る機会を増やしたい。仕事を頑張らないと」。国際俳優としての決意を新たにした。