◆ストレイヤーズ・クロニクル(日)

 SFアクション映画といえば、ハリウッドの牙城が高い分野。これに岡田将生を筆頭にした男女の若手俳優陣、製作陣がどう挑むか。日本映画界の壮大なる挑戦-というテーマを、自分で勝手に込めて鑑賞した。

 極秘機関にホルモンを操作され、特殊能力を持たされる若者たち。能力が限界に達すると「破綻」と呼ばれる精神崩壊が起き、長く生きられない。そんな宿命を持つ者たちのうち、岡田率いる組は未来へ何かを残そうとし、染谷将太率いる組は破滅へ導こうとする。

 「運動が苦手」という岡田が、センスのいい動きを見せている。1カ月に及ぶ特訓の成果は上々。スタイリッシュに攻撃をかわしていく姿に、ほれぼれする。ウイルスを体に蓄えている危険人物を演じた染谷も、頭のネジが数本、飛んだ難役を器用に演じている。竹やぶでの瀬戸利樹、鈴木伸之の殺陣は、スピード感だけなら満点。欲を言えば、もう少し尺と派手さが欲しかった。

 ハードボイルドで終わってほしかったという思いもあってか、黒島結菜と本郷奏多とのラブコメ要素と、「ゲスの極み乙女。」のテーマ曲が浮いているように思えた。こちらはスピンオフにしてみてはどうか。【森本隆】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)