77年から「天使のはらわた」をシリーズ化させ、ポルノ路線を突っ走り、04年には杉本彩で「花と蛇」を世に出した石井隆監督がビシッと新作を出した。追い詰められた連中がヤクザにあらがう95年「GONIN」では、たけし、佐藤浩市、本木雅弘、椎名桔平、竹中直人らがはじけた。今回は当時の息子たちが19年の時をへて、バチバチやる。

 東出昌大と桐谷健太が、組長のタテになって絶命した父の敵討ちに燃える。柄本佑は殉職警官の息子で暗い復讐(ふくしゅう)心を宿す。今の組長の2代目として、器の小さい跳ねっ返りぶりを熱演する安藤政信。2代目にレイプされ、愛人に落ちた元アイドルの土屋アンナは、はすっぱな演技がうまい。

 石井監督の演出は腹にこたえる。血なまぐさ、やさぐれた空気感、エロス…。BGMもなく現場の生音が響く映像には軽さがない。いらんことをせんからか、暴力性が際立つ。人の業も伝わる。

 強烈な脇役もいる。19年前の生き残りとして、限定復帰した根津甚八の表情にゾッとした。菅田俊のザッツ・ヤクザぶりは、周囲のいたらなさを埋めて余りある存在感です。【加藤裕一】

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