渡哲也(73)が急性心筋梗塞で6月10日に緊急入院し、手術を受けたことが17日、分かった。横浜市の総持寺で営まれた故石原裕次郎さん(享年52)二十九回忌で発表された。今月11日に退院し、現在は都内の自宅で静養中。復帰時期については未定で、回復を優先させるという。

 今年は、裕次郎さんの墓前に渡の姿がなかった。そのまま法要は進み、舘ひろし(65)が、終了後に事情を明かした。「先月10日、(渡が)急性心筋梗塞になりまして入院し、今月11日に退院しました。今はリハビリしています」。

 渡は胸が苦しくなり、車を呼んで自宅から都内の病院に向かったという。心電図を撮ったところ心筋梗塞が判明。舘いわく、「ヘタすれば死んでもおかしくなかった」状態で、緊急手術を受けた。冠動脈にカテーテルを通してステントを入れるなど、約1時間の手術だった。

 渡は1973年(昭48)に膠原(こうげん)病にかかって以降、定期健診を月1回受け、91年に見つかった直腸がんも乗り越えた。関係者によると、近年、飲酒は料理に合うものをたしなむ程度で、たばこもここ10年ほど吸っていないなど、健康に留意していた。前兆もない中、初めて心臓の病で驚いていたという。

 手術2日後の6月12日には舘と電話で話している。当初、同日は都内でケーブルテレビ番組「西部警察キャラバン」の収録で舘と対談の予定だったがキャンセル。1人で収録を終えた舘に電話で「ひろし、心筋梗塞だって」と告げたという。舘は「あまり聞き取れなかった。はっきり、しゃべれる状況じゃなかったと思う」と振り返った。

 入院中は他の患者を考慮し、家族とマネジャー以外の見舞いは受けなかった。約1カ月の入院生活で足が弱っており、リハビリのストレッチを自宅で継続。舘と16日に電話で話した際は元気な様子で「妻にいじめられながら、リハビリしているよ。ひろし、お前はどうなんだ?」と言い、「親方、病人はあなたです」と返されると笑っていたという。渡の今後について、舘は「先のことは分からない」。その上で「今回は本当に運が良かった。1日でも早く元気になっていただきたい」と全快を祈った。【村上幸将】

 ◆心筋梗塞の治療 心臓の表面の冠動脈が加齢などで動脈硬化を起こすと、血管の内側が狭くなり血液が通じなくなる状態を急性心筋梗塞という。まず空洞の管・カテーテルを、腕か太ももから狭くなった冠動脈に通した後、バルーン(風船)を送り、膨らませて血管を拡張して血流を良くする。バルーンに金属製の網目の筒・ステントをかぶせて冠動脈に通し、バルーンを膨らませてステントを広げた状態でバルーンを抜く治療法もある。ステントは、元に戻りにくく治療後、再び血管が狭くなる再狭窄の可能性が低くなる。