男性2人組歌手ユニット、東京プリンの伊藤洋介(51)が20日、大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、事実上最後の作品となったシングル「明日笑っていられるように」(14年4月30日リリース)をPRした。

 相方の牧野隆志さんは昨年2月に肺腺がんのため49歳の若さで亡くなった。余命数年と告知されてからも「やり残したことがないように」と前向きに生きた牧野さんの姿を「リスペクトしていた。この姿を最後の曲として形にしたいと感じた」と伊藤。ラジオで共演した社会学者の古市憲寿氏を加え3人で「もし明日が最後の日なら何をしたいか」をテーマに作詞した。牧野さんは「明日笑っていられるように、おまえと男の約束しよう。何があっても家族は守れ、そしてパパ越えていくんだぞ」と息子への強い思いを詞に込めた。そんな懸命に今を生きる覚悟を1人でも多くの人に届けたいと、闘病中に作り上げた同曲だったが、結局牧野さんの声が出ずレコーディングまでたどり着かず。しかしその思いに賛同したアーティスト仲間が集い「東京プリンとたいせつな仲間たち」という名義で楽曲を完成させた。参加したのはTRFのYU-KI、持田香織、SOLIDEMO、AAA、倖田來未、misono、hitomi、Dream、沢尻エリカ、伴都美子、浜崎あゆみといった豪華な11組。小室哲哉がキーボードを担当した。

 楽曲のリリースから1年、伊藤は多忙なスケジュールの合間を縫って全国で同曲をプロモーションする。「相方のために頑張るとか気負う訳ではなく、ただこの歌を広めることが残された人間の使命」と潔い。同曲はYouTubeでも視聴可能。また同曲に関する印税の全額とレコード会社の利益の全ては日本対がん協会に寄付される。

 東京プリンは97年にCDデビュー。牧野さんが「左プリン」、伊藤が「右プリン」とし、代表曲「携帯哀歌」は日本有線大賞音楽賞を受賞した。