今年、28年ぶりに新作が公開される日活ロマンポルノの「風に濡れた女」(塩田明彦監督、今年冬公開)が、8月3日に開幕するスイスのロカルノ映画祭でコンペ部門に出品されることが13日、決まった。映画祭事務局が発表した。

 過去に国際映画祭で特集上映されたことはあったが、コンペ出品は同シリーズ史上初めて。公式上映は同5日、受賞式は13日に行われる。

 招待の理由について、映画祭事務局のマーク・ペランソン・プログラムディレクターは「『ロマンポルノ』は、名前から誤解されたり、笑われることも多かったが、偉大な監督たちが初期のキャリアを積んだ場。『風に-』は過去の作品にオマージュをささげつつ、ロマンポルノの新しい1歩を踏み出している」と説明した。

 ロマンポルノは、赤裸々な性描写や生々しい人間ドラマが受け、社会現象になった成人映画シリーズ。71~88年にかけて1100本が上映され、白川和子、山口美也子、宮下順子、東てる美、美保純、岡本麗ら多くの女優を輩出した。

 一方で、過去には作品のわいせつ性が裁判で問われたこともあり、塩田監督は「世間の視線も温かいものばかりではなかった。だからこそ、新作が映画祭で上映されることには、強く心を揺さぶられるものがある」と感慨深げにコメントした。

「風に-」は映画「甘い鞭」などに出演した間宮夕貴(25)と、TBS系ドラマ「重版出来!」に出た永岡佑(33)のダブル主演作。03年の柴咲コウ主演映画「黄泉(よみ)がえり」(03年)などで知られる塩田監督がメガホンをとった。

 ロマンポルノは今後、園子温監督、白石和弥監督、中田秀夫監督、行定勲監督の作品も公開される。