第67回NHK紅白歌合戦の放送が迫ってきた。リハーサルを4日間、通して取材した記者が、今年の紅白の見どころを紹介する。

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 年末に放送が終了し、ロスが叫ばれる人気ドラマ2作品が、紅白でも大きな見どころとなりそうだ。35曲目に登場する星野源(35)は、「恋ダンス」などで社会現象的な人気となったTBS系「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌「恋」を歌う。リハーサルでは、司会の嵐・相葉雅紀(34)と有村架純(23)が恋ダンスを踊った。

 主演の新垣結衣(28)は、ゲスト審査員としてステージ下手の審査員席で見守る構図となりそうで、リハーサルでは新垣が主体的に踊りに絡む演出は見られなかった。取材陣に隠した“裏演出”として、新垣が多少なりとも踊りに絡むのか、また司会2人がサプライズで新垣に踊りをリクエストするのか…本番まで期待は高まる。

 14曲目に登場する、香西かおりが歌う「すき~真田丸スペシャルver.~」では、「真田丸」のメインテーマを演奏したバイオリニストの三浦文彰氏が、ステージの上段で演奏する中、「真田丸」の映像が流れる。ドラマの世界観を再現しており、ファンは見逃せないだろう。

 圧巻だったステージは、13曲目に登場し、「Welcome to TOKYO」を歌う三代目J Soul Brothersだ。100人のダンサーが、LED照明がついたスーツを身に着けて踊る様は、近未来の宇宙基地を見ているようだ。

 34曲目に登場し、「FLASH」を歌うPerfumeは、「ダイナミックVR」という最先端の技術で、空を飛んでいるように見える映像が注目だ。NHKによると、LEDの映像で見る人に錯覚を見せて、浮かんだように見せているというが、宇宙空間を飛び回るように見える、3人のパフォーマンスからは、一時も目が離せない。

 興味深かったのは、大ヒットした映画とのコラボだ。興行収入(興収)210億円を突破したアニメ映画「君の名は。」の主題歌「前前前世」で初出場のRADWIMPSの歌唱時に、「君の名は。」の新海誠監督が製作した特別編集の映像が流れる。1分12秒と短いが、映画の名場面が盛り込まれている。ファンは23曲目に登場するRADWIMPのパフォーマンスは要チェックだ。

 実写で興収81億円を突破した「シン・ゴジラ」とのコラボ企画も見逃せない。番組の合間に「シン・ゴジラ」の場面と思われる映像が、幾つか出てくる。日本に上陸し、渋谷に向かっている巨大生物ゴジラに効く武器が音楽という設定で、紅白歌合戦の音楽の力でゴジラを打倒しよう…という物語のようだ。主演の長谷川博己、大杉漣、松尾諭、塚本晋也らが主要キャストが出演し、新たに撮影したとみられる、紅白のみと思われる映像も見られた。映画ファンも今年の紅白は見逃せない。

 想像以上に面白かったのは、ビヨンセに扮(ふん)した渡辺直美とピコ太郎が登場する、紅白新企画「ハーフタイムショー」だ。渡辺が、ハーフタイムショーの司会を務める嵐の二宮和也(33)と相葉、有村ににじり寄り、激しく全身を振って踊る。リハーサルでは、渡辺が相葉と肩を組んで踊る場面も見られた。その後、ピコ太郎が登場し、みんなで踊るPPAPは、ピコ太郎に似た衣装を着た二宮含め、笑いを誘う。

 18曲目に郷ひろみ(61)が歌う「言えないよ」の時に土屋太鳳(21)、香西の歌唱時に橋本マナミ(32)が見せるダンスも、美しさ、色気、そして迫力十分だ。歌、テレビの枠にとどまらない、新しい試みも多い今年の紅白歌合戦が、本番でどういう放送となるか、楽しみだ。【村上幸将】