日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が24日、都内のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われた。

 2016年の年間興行収入(興収)は、前年から138億8900万円増の2355億800万円(前年対比108・5%)で、発表する数字が配給収入(配収)から興収ベース切り替わった00年以降、最高の成績となった。内訳は、邦画が前年から282億4100万円増の1486億800万円、洋画は前年から98億5200万円減の869億円だった。

 入場人員は、1億8018万9000人となった。1億8000万人を超えたのは1974年(昭49)以来、42年ぶり。同年以降、翌75年にベータ、79年にVHSと、家庭用ビデオデッキが相次いで発売され、映画の入場人員は下がっていったが、家庭用ビデオデッキ登場前の水準に戻った。

 公開本数は1149本で、4年連続1000本以上の高水準となった。興収10億円以上の作品は、邦画が43本で前年より4本増え、うち50億円超えは5本と前年の2本を上回った。洋画は19本と3作品減少し、50億円超えの作品は前年5本を下回る3本となった。

 映連の岡田裕介会長(東映会長)は、非常に好調だった映画業界の16年を「映画界にとって自信が持てた1年」と評した。その上で、次のように分析した。

 映画そのものの媒体価値が、上がってきたのかな? テレビは無料、映画は有料と苦しい中で戦ってきたが、いいソフトにお金を払う、という感覚にお客さんが変わってきた、というのが私の個人的な見解。配信で(映画館の入場者数が減る)不安があったが、思った以上に伸びず、映画が伸びた逆流現象が起きている。(観客の中に)いいソフトにお金をかけ、いい環境で見たいという気持ちが出てきた。割引がどうということではなく、単価も上がっている。映画館がシネコン化されて、お客さんが歓迎の意を表してくれているのではないかと思っている。

 年間興収、入場人員ともに好成績を収めた16年の日本映画界。景気のいい話が続く中、各社のトップの口からは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワークによる口コミの影響力を、強く意識する発言が目立った。岡田会長の言葉にもあるように、良質のソフト、コンテンツを作ることは大前提だが、良い作品をいかに観客の元に送り届け、共感を呼び、観客の自主的な拡散につなげていくか、という部分の届け方、伝え方の部分も、SNS時代におけるヒットの重要な要素となりそうだ。【村上幸将】