第89回アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされたイラン映画「セールスマン」でメガホンをとったアスガル・ファルハーディ監督が29日、トランプ米大統領がイランなどイスラム圏7カ国からの入国を禁止したことを受けて、来月26日行われる授賞式を欠席することを表明した。同作品に主演する女優タラネ・アリドルスティも先週、「人種差別だ」とのコメントを発表して同賞授賞式への出席をボイコットする意向を表明したばかり。

 同監督は「例外的に入国が認められたとしても、それを素直に受け入れることは難しい」との声明を発表し、当初は授賞式に出席する予定だったが、考えを変えざるをえなくなったとコメントしている。同監督は2012年に「別離」で外国語作品賞を受賞しており、今年のアカデミー賞でも有力候補と言われていた。

 一方、同賞を主催するアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーも、「宗教や国籍に基づいて入国を禁じるのは極めて問題だ」との抗議声明文を発表し、大統領令の撤回を求めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)