東海テレビ放送の「再生委員会」(委員長・音好宏上智大教授)は15日「コスト削減を図る一方、放送倫理の観点が欠けていた」として、現行経営計画の廃止を浅野碩也社長に答申した。岩手県産米のプレゼント当選者を「セシウムさん」などと表示した問題の再発防止策を検討していた。

 来年1月末までにこれに代わる計画を作ることや、有識者が番組制作を監視する新機関「オンブズ東海」、法令順守に特化した部局の設置も求めた。

 委員会は問題が起きた原因や背景についての検証委員会を引き継ぎ、音氏や幹部らで構成。

 検証委は、2009年度以降の経営計画が自社番組の制作費を3年間で10%削減することを打ち出し、現場の負荷を大きくした結果、不適切テロップ問題を誘発したと報告した。

 これを受け、答申は社会貢献や放送倫理という「放送事業者としての本分が全く欠落していた」と批判。新しい計画は放送事業者としての原点や理念を再確認する内容とするよう要請した。

 オンブズ東海について、放送法上の放送番組審議機関と異なり、諮問を待たずに自ら調査して視聴者に公表する権限を持ち、委員は放送エリアの愛知、三重、岐阜3県に住む有識者を想定した。

 答申を受けて記者会見した浅野社長は「当たり前のことができていなかった。答申を尊重し、実行に移したい」と述べた。(共同)