亡き父の名前「増田政夫」として、自作シングル曲「淡路島」で歌手デビューした漫才コンビますだおかだの増田英彦(38)が、父の日の15日、父の故郷の兵庫県2カ所で生歌を披露した。午後から政夫さん出身の淡路島で、夕方には神戸市長田区で歌い、計1000人以上を動員した。

 「おやじの故郷で初めて歌う日が父の日。おやじの名前で、親せきも来てる中歌って、しかも今日はおかんの父の命日で…。(梅雨の時季なのに)雨も降らず、おやじが大きな傘さしてくれてんちゃうか」。増田は感極まり、詞を間違えるハプニングもあった。

 楽曲は昨年2月、父との思い出を歌にしようと、自分で詞を書き、メロディーをつけた。政夫さんは、増田のデビュー翌年、94年に肝臓がんで亡くなった。サラリーマンから漫才師に転向した増田に、政夫さんは反対しながらも応援していたと、後に聞いた。

 思い余る父への気持ちは抑えようもない。ただ、本職はお笑い。「2番でちょっと、淡路島(島の形から涙を曲の詞でもこう表現)がこぼれそうで、やばかった。途中から聞いた人、えらい音痴や思うたでしょうね」。目標は「紅白…の前に、NHKで歌うこと。まず歌謡コンサートで、それも無理やったら、NHKでゲリラライブやりますわ」と話した。

 歌唱後は、「長田下町漫才大会」の審査員を務め、元阪神の仲田幸司氏(43)、安達智次郎氏(33)とフリートークを行った。