人気グループ嵐が5日、東京、台北、ソウル、上海を回るアジアツアーを東京・国立競技場でスタートした。日本最大級の会場で単独公演を行った国内アーティストはSMAP、DREAMS

 COME

 TRUEに続き3組目。7万人を動員したステージは11トントラック270台分の機材を搬入するスケールで、ツアー全体には10億円の製作費がかけられた。デビュー10年目。大きな嵐になった。

 大詰めを迎えたステージで櫻井翔(26)が「幸せだね…。幸せな時間でした」とつぶやいた。嵐が誇る知性派の感極まった言葉に、リーダー大野智(27)ら4人の目が潤んだ。松本潤(25)は7万人に呼び掛けた。「このタイミングで、こんなに大きな会場で、こんなにたくさんの人たちと楽しいコンサートができて、本当に感謝しています。最高に楽しかった!」。

 聖火台に向かってリフトが伸び、ステージで噴水が上がり、花火で締めくくる派手なコンサートだった。大掛かりなセットが完成したのはこの日昼すぎだった。多忙なメンバーが全員で本格的な打ち合わせを始めたのは、8月31日に日本テレビ「24時間テレビ」を終えてから。櫻井はその直前まで五輪取材で滞在した北京で「振り付け、大丈夫かな」とこぼしていた。結局、通しリハーサルは1回だけ。公演直前の会見をキャンセルし、ギリギリまで準備を続けた。

 公演は3時間。途中、会場に語り掛けたのは1回だけで、花道を駆け回り、相葉雅紀(25)がプールに飛び込む演出もあった。ハプニングもあった。相葉のズボンの尻の部分が裂け「ズボンがパッカパッカで」。二宮和也(25)はバック宙で尻もちをつき「先輩の東山紀之さんが来てるから、成長を見てほしいと思って…」と、笑い飛ばした。

 KAT-TUNなどデビュー直後に東京ドーム公演を行う後輩たちが相次ぐ中で、嵐が同所に初めて立ったのは昨年だった。決して順調ではなかった道のり。それが「24時間テレビ」でも紹介されたように、4年前、相葉がメンバーに語り掛けた「必ずトップになろうよ」の言葉を胸に秘め、奮闘してきた。

 誓い通り「One

 Love」と新曲「truth」はともに50万枚を突破して、08年のシングルNO・1、2の売上数だ。アジアツアーも4都市9公演で22万人を動員する。絶頂の中、迎えた巨大ステージでラストソング「One

 Love」を歌うと5万個の白い風船が上がった。華々しいフィナーレ。けれど、終わらない。松本が「もう1曲いっちゃおっか!」と叫ぶと、アンコールは6曲。嵐はやまなかった。