作品賞には「魔王」/日刊ドラマGP
<第12回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>
「第12回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の作品賞にはTBS系「魔王」が選ばれた。主演した大野智(28)の主演男優賞と合わせ2冠に輝いた。高橋正尚プロデューサー(34)は「出演者、スタッフ全員がそれぞれの持ち場でこだわり抜いて作ったことを支持されたのなら、これ以上ない喜び」と語った。映像にこだわり抜いた骨太なドラマが評価された。
学園ものや、漫画が原作の軽いテーマの作品が視聴率を稼ぐ中、高橋氏は「ドラマ好きがハマっていく骨太なドラマを作りたかった」と振り返る。人気を博していた韓流サスペンスドラマ「魔王」をピックアップ。「東京ラブストーリー、高校教師、振り返れば奴がいる、ひとつ屋根の下など、名ドラマは十数年たっても名シーンが脳裏に残っている。そんなドラマにしたかった」。
静のキャラクターに大野、動には生田を配した。「視聴者が感情移入できる正反対のキャラクターを2人据える狙いが、2人の技量で成功した」という。脇役にも石坂浩二、三宅裕司らベテランから、劇団ひとり、吉瀬美智子、田中圭ら今が旬の演技派をキャスティングできた。「シリアスな世界観を築けた要因。特に大御所の石坂さんが、最後まで前のめりに臨んでくれた。みんながそれにつられた」と、感謝した。
34歳のプロデューサーを筆頭にスタッフも若手ばかりだったが、経験の浅さを情熱で補った。大野は「1日70カット撮影なんて日もあった。どんだけ撮るんだよってぐらい(笑い)。でも、スタッフが昨日の編集作業は20時間も費やしたとか知ると、身が引き締まった」。美術担当は、登場人物の心情を表す、赤色や青色を鮮やかに表現することに執着。カメラマンは、殺人鬼に狙われる刑事芹沢(生田)を、物陰からのぞき見しているようなアングルで撮り続けた。
近年は、イケメンをずらりと並べ、ノリと勢いで視聴者を引っ張る作品が、ヒット作品の定番だ。だが、高橋氏は「シリアスで、のめり込まなきゃいけないドラマが支持されたことがうれしい。『魔王』という大きな山を越えて成長しあえた仲間たちで、またいつか再会して、さらに上のドラマを作りたい」。大野や生田を筆頭に、今でもたびたび集っているという魔王ファミリー。きずなの強さが、成功を物語っていた。【瀬津真也】
◆「魔王」 昨年7~9月にTBS系で放送。大野智と生田斗真のダブル主演。同名の07年韓国ドラマのリメーク。11年前に弟を殺害された弁護士の成瀬領(大野)が、正当防衛で無罪になった犯人で正義感の強い刑事に育った芹沢直人(生田)に復讐する。
[2009年5月1日9時42分 紙面から]
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