来年6月に開催されるサッカーW杯南アフリカ大会で、岡田ジャパンが掲げている「ベスト4」の目標が、テレビ各局には信用されていない疑いが出てきた。NHKと民放は、W杯全64試合のうち44試合を選択して地上波で放送するが、「3位決定戦」については「必要ない」とし、選択しなかったことが15日までに判明した。フジテレビが、日本がE組2位で1次リーグを突破した際に出場する決勝トーナメント1回戦の放送権を獲得できた状況にありながら、あえて回避していたことも分かった。

 岡田ジャパンが4強入りし、3位決定戦に回っても地上波でも衛星放送でも視聴できないことが分かった。NHKと民放が構成しているJCは、W杯64試合のうち、放送権を取得する44試合を決める段階で「3位決定戦」を選んでいなかった。過去に日本が出場した98年フランス大会、02年日韓共催大会、06年ドイツ大会では、いずれも3位決定戦は地上波で放送された。しかし、次回大会に関しては、日本代表の岡田武史監督が「ベスト4を狙う」と宣言しているにもかかわらず、放送の必要がないと判断したようだ。

 この決断は、テレビ各局が、日本の4強入りを期待していないとも受け取れる。この状況について、日本民間放送連盟(民放連)は「4強入りの可能性があるのは分かっていますが、JCが64試合の中から44試合を選択する中、こうなった」と説明。仮に、日本が3位決定戦に回った場合については「進んだ場合は(何か動く)可能性はあるが、まだ権利元と話していない」と話すにとどまった。

 地上波で生中継する44試合のうち、22試合をNHK、22試合を民放で放送する。E組の日本戦に関しては、1次リーグの「日本対カメルーン」、日本がE組1位通過した際の決勝トーナメント1回戦をNHKが放送することが決定した。残りの日本戦は14日に、民放各局が抽選を行い中継局を決めた。関係者の話を総合すると、最初に各局が獲得する順番を決めるくじを引くという。

 1番くじを引いたテレビ朝日は「日本対オランダ」を獲得。2番を引いた日本テレビが「日本対デンマーク」。しかし、3番のフジテレビは日本がE組2位通過をした場合の決勝トーナメント1回戦の放送権を獲得できる状況だったが、それを回避。4番くじのTBSが同カードを獲得した。

 フジテレビでは回避の理由を「このカードの獲得をパスすると、(抽選方式上)次の選択でうちに優先権が発生するシステムだったことを考慮して獲得しなかった」と説明している。同局は代わりに、1次リーグG組「ブラジル対ポルトガル」の放送権を獲得した。

 テレビ関係者によると、W杯放送で発生する利益は各局で均等に分割される仕組みという。一方で日本戦を放送すると、他国の試合をよりスタッフや中継カメラを手配する制作費が多くかかる事情もある。ある民放局幹部は「フジは日本代表の現実を見て実を取った。TBSはわずかな可能性を信じて予算を投入した形」と話している。

 [2009年12月16日6時42分

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