【ロサンゼルス=岩田千代巳】ロックバンドX

 JAPANが、ハリウッド中心部で総制作費約5億円のミュージックビデオの撮影を行った。地上20メートルの特設ステージで、約300発の花火がさく裂するパフォーマンスを展開した。昨夏、頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアの手術を受けたYOSHIKI(年齢非公表)にとっては、術後初めての演奏。8月開催のシカゴのロックフェスティバル出演の依頼を受けたことも明かし、X

 JAPANの米国初ライブも現実味を帯びてきた。

 演奏場所は、アカデミー賞授賞式の会場として知られるコダックシアターが入る施設だった。地上20メートル、幅10メートル、奥行き10メートルのステージが設置され、約300発の花火、火柱が飛び交う大型撮影を敢行した。空撮用のヘリコプターが2機、大型クレーン3台、合計25台のカメラが見守る中、X

 JAPANは新曲「Jade」、バラード曲「ENDLESS

 RAIN」などを披露。YOSHIKIにとっても術後初めて演奏で、コルセットを巻きながら激しくドラムをたたき続けた。現地スタッフも「ローリング・ストーンズ・イン・ジャパン」と賛辞を贈った。

 総制作費は約5億円。ロス在住のYOSHIKIは日ごろ、ハリウッド大通りを利用しており「コダックの上でビデオを撮ったら、インパクトあるだろうな」と周囲と冗談ぽく話していたという。だが、今回は自身が総合プロデュースするにあたり、冗談から出たアイデアを決行した。世界で発売予定のアルバムプロモーションを兼ねた名刺代わりのミュージックビデオで、YOSHIKIは「ものすごい高い名刺ですよね。パフォーマンスだけでなく、激しい曲もバラードもできる両面を表現したかった」と話した。

 92年に1度、全米進出を発表したが頓挫した。18年の時を経てハリウッドまでたどり着き「ステージからダウンタウンの高層ビルも眺めたらジーンときました。TOSHIと初めてバンドを組んで館山(千葉県)の中学校の文化祭に出て、ついにハリウッドのど真ん中に来てやってる…夢は追っていけばかなうんだなと」。ドラムの横に故HIDEさんのギターを置き、TOSHIと歩んだ道を思い出し、演奏中、涙が止まらなかったという。

 8月6日から始まる米シカゴの大型ロックフェスティバル「ロラパルーザ」の出演依頼を受けたという。首の状態は万全ではないが「最大限気をつけて、何年持つか分かりませんが、目標をまずは3年にすえてやっていきたい」と宣言。自叙伝も台湾、香港での発売が決定し米でも刊行準備に入った。悲願の米ライブも目の前に来ている。

 [2010年1月12日8時9分

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