全米デビュー50周年を迎える歌手ロミ・山田(76)が、21日に東京・品川のきゅりあん大ホールで記念リサイタルを開催する。つやのある声はまったく衰えていない。ミュージカル歌手として「メモリー」やクラシックナンバー「アヴェマリア」を披露する。ロミは「今日まで支えてくれた音楽とそれを聴いてくださるみなさまに心から感謝を込めて歌いたい」とステージへ向けて意欲を語った。

 ロミは音大卒業後、米国に留学。60年にブロードウェードラマ「スージー・ウォンの世界」のプロデューサーに見いだされて全米デビュー。翌年にはミュージカルの主役に抜てきされ、日本のミュージカルスターの先駆者として華々しいキャリアをスタートさせた。歌手としても国際的な音楽祭に出演して多くのスターと共演している。

 ここ数年は仕事をセーブ。最愛の長男が聴神経腫瘍(しゅよう)に侵され、要介護状態になった。5年間の闘病の末、08年12月に40歳で先立たれた。ロミは当時を振り返り「息子の死を他の人と話す気にもなれなかった」という。長男の死から1年が過ぎた09年末にリサイタルの企画が持ち上がった。全米デビュー50周年の節目をきっかけにつらい別れと向き合う決心がついたと話す。

 舞台に立つ目的が大きな心の支えとなった。「今までと違ったエネルギーがわいてきました」。生前に長男がくれた3センチほどの小さなマリア像がお守りだ。講演活動や若いアーティストの育成など、まだまだやりたいことがある。リサイタルを再出発の門出にする。

 チケット問い合わせはコンコルディア03・6427・5688。

 [2010年5月19日8時15分

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