坂上二郎(76)が来年1月の明治座公演「いかん

 どっかん

 あっけらかん」(1月2~28日)での生出演を断念することが26日、分かった。コント55号の相方萩本欽一(69)がこの日、明らかにした。坂上は今年8月に倒れて入院中で、顔から下の手足など、ほぼ全身が不自由になったという。萩本は「口は元気だから」と声かビデオ映像での出演を検討している。

 坂上は今年8月13日に自宅で倒れた。朝、ドーンという音を聞いた夫人が坂上の寝室に駆け付けると、頭から血を出して倒れていたという。坂上は03年に脳梗塞(こうそく)で左半身が不自由になったが、検査の結果、時間の経過とともに脳梗塞が進行し、右半身も不自由になっていたことが分かったという。

 入院は極秘とされ、萩本も9月30日に見舞いに行って初めて病状を知ったという。「足腰が立たない。顔から下が不自由になっていた」。しかし、明るい声と笑い声は健在だったという。坂上は「(明治座公演の)けいこ始まったかい。大丈夫、行けるよ」と出演に意欲的で、得意ギャグ「飛びます」のしぐさを見せ、萩本が突っ込むと必死に返そうとしたという。「アドリブの目になっていたし、口は元気で『イッヒッヒッ』の笑い声は同じ。頭の中のコメディー魂は生きていた。でも、飛びますの指の動きができてなかった」。

 約1時間いて帰ろうとすると、坂上が呼び止めて握手した。「手を握って離せなかった。握手の中にいろいろな言葉が乗っかっている気がした」と目を潤ませた。その場で明治座出演は無理と言えなかった。「『待ってるよ』と言うと『うん』と答えていた。本人は出られないと思っていないんだもの」と表情を曇らせた。そんな坂上のために声かビデオ映像の出演を検討している。「二郎さんを喜ばせたいし、お客さんにも声が元気なことを伝えられれば」。車いすで登場のプランも、かつて坂上は「舞台人が車いすでお客さんの前に出るのは失礼」と言っており、見送られた。

 66年に結成されたコント55号は来年で45年となり、今回の公演はくしくも「コント55号

 THE

 LAST」と銘打たれていた。「病室で『頑張れよ』と言うと『頑張る』と言っていた。来年はダメでも、二郎さんには『いつでも待っているよ』と言いたい」。奇跡の回復を祈っている。【林尚之】

 [2010年10月27日8時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク