北野武(67)が初めて原案を手掛けた舞台作品が、11月に東京・銀座の博品館劇場で上演されることが5日、分かった。太平洋戦争で戦った日米兵士がタップダンスを通して友情を築く物語。北野が監督・主演した映画「座頭市」に出演したダンサーHIDEBOH(47)が主演する。

 北野が「タップ映画」として映画化を考え、温めていた企画だった。しかし、日の目を見ず、2012年にHIDEBOHが主演・振り付けの舞台を観劇した北野が「これ、やりなよ」と提案。高平哲郎氏の脚本・演出で舞台化が決まった。

 北野は12年発売の著書「物語」で、今回の構想を語っている。そして、出来上がった原案では、島のジャングルで迷子になった日本兵と米国兵が一緒に暮らし、タップダンサーだった米国兵がタップを教えて友情を育む。戦争が終わり、米国兵は「一緒に帰ろう」と誘うが、日本兵は残る。ブロードウェーでダンサーになった元米国兵はある時、「日本兵が見つかった」との記事を読んで、島に駆けつける。

 主人公のイメージは、昨年1月に亡くなった小野田寛郎氏(享年91)。太平洋戦争後もフィリピン・ルバング島に残って戦闘を続け、74年に帰国した元軍人だ。舞台化への本格的な準備はこれからだが、北野は「ヨロヨロとジジイが出てきて、タップを踊りだす。そいでアメリカ兵も一緒に踊る、ていうのがラストシーンで」と明かす。ブロードウェーのダンサーの来日も決まっているという。