イタリアで開催中の第68回ベネチア国際映画祭で10日夜(日本時間11日未明)、コンペティション部門に出品された「ヒミズ」(園子温監督、来春公開)に主演した染谷将太(19)とヒロイン二階堂ふみ(16)が、新人賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞した。同賞は98年に創設され、日本人の受賞は初めて。

 「ヒミズ」は漫画家・古谷実氏の漫画を原作に、舞台を東日本大震災後の日本に変更して描き、被災地の宮城県石巻市の映像も使われた。染谷は虐待を繰り返す父を殺害し、生きる希望を失った中学生を、二階堂は主人公に好意を寄せ、少年をけなげに励ます同級生の少女を好演した。染谷は「絶望の中でも人間は自然に希望を求める。いつも、どこかに希望はあるはず」と話し、二階堂も「希望を持って頑張るのは簡単じゃない。でも前に進みたい」と力を込めた。

 また、斬新で先鋭的な作品を集めたオリゾンティ部門で、塚本晋也監督(51)の「KOTOKO」(来年公開)が最高賞のオリゾンティ賞を受賞した。同監督は97年に同映画祭の審査員を務め、02年には「六月の蛇」でコントロコレンテ部門審査員特別大賞を受賞した。「KOTOKO」は歌手Cocco(34)が主演し、子育てと世間の間で悩むシングルマザーの姿を描き、同監督自ら出演している。