新人女優が今年、鮮烈にデビューする。三根梓(20)。デビュー作には映画「シグナル~月曜日のルカ~」(谷口正晃監督、6月9日公開)の初主演という大きな舞台が用意された。かつて女優田中麗奈(31)も所属した福岡のモデル事務所から、昨春、田中や香里奈らが所属する都内の大手事務所に移籍。目力の強さも田中をほうふつさせる、注目の新人だ。

 いきなりの主演には不安もプレッシャーもあったという。作品の試写を見終わって「エンドロールで三根梓って名前が一番に流れてきた時に、自分が主演の映画を撮ってもらったんだってあらためて実感して涙が出そうでした」。周りから「頑張ったね」と声を掛けられると、抑えていた涙があふれた。

 谷口正晃監督(45)にはクランクイン前から芝居の稽古を付けてもらった。監督は「発声など、まさに一からのスタートで、彼女には幾度となく厳しいことを言いました」と振り返る。「三根さんの持つ、強いまなざしこそが、この映画には不可欠なものでした。撮影の終盤、いつしか顔つきがたくましくなった彼女を現場に見た時、女優が生まれたんだ、と思いました」。

 芸能界に憧れるようになったのは中学生の時に見た「3年B組金八先生」がきっかけだという。「同年代の女の子たちがすごく輝いて見えて。黒川智花さんがかれんで透明感のある役を演じられていて、私もそういうお芝居が出来るようになりたいと思いました」。

 憧れを行動に移したのは中学2年の時。知人の紹介で福岡のモデル事務所に入り、大学進学と同時に上京した際、現在の事務所を紹介された。いずれも田中麗奈が先輩だ。女優デビューが主演映画(田中は「がんばっていきまっしょい」)という点も同じ。三根は「麗奈さんみたいに芝居がうまいって思っていただけるような女優になりたいと思っています」と憧れる。

 現在、都内の名門大学に通う2年生。「上京に反対する両親に認めてもらえるように勉強も頑張りました」。ド根性の持ち主でもある。今どき珍しいほど清潔感のある知的な美少女をテレビで頻繁に見かける日も近いはずだ。

 ◆三根梓(みね・あずさ)1991年(平3)12月21日、佐賀県生まれ。同県内の高校卒業後に上京し、現在都内の大学で経済を学ぶ2年生。特技は小学3年から高校3年生まで続けたバレーボール。家族は両親と弟。好きな映画は「いま、会いにゆきます」。164センチ、血液型A。

 ◆「シグナル~月曜日のルカ~」

 共演はAAA西島隆弘、高良健吾、井上順、宇津井健。恵介(西島)は地元の映画館“銀映館”でアルバイトを始め、そこで働く映写技師のルカ(三根)は3年間、1歩も外に出ることなく銀映館で暮らしている。恵介は支配人(井上)と「月曜日はルカをそっとしておく」「ルカとの恋愛禁止」「ルカの過去について質問しない」という3つの約束をさせられるが、次第に恵介はミステリアスなルカにひかれていく。しかし、恵介がバイトを始めて最初の月曜日、ルカに異変が訪れる。