役所広司(57)が、映画「告白」などで知られる中島哲也監督(53)の新作「渇き。」に主演することが6日、分かった。原作は、新人作家を対象にした「このミステリーがすごい!大賞」を04年に受賞した深町秋生氏の「果てしなき渇き」。性格も家庭も破綻した元刑事が、失踪した娘を捜索する中、仰天の事態に巻き込まれる姿を描いている。関係者によると、娘を殺された女性教師が生徒を相手に真相に迫っていく姿を描いた中島監督の代表作「告白」の“男性版”とも言うべき作品になりそうで、今日7日にクランクインする。

 役所演じる主人公は、妻の不倫相手に暴行して刑事を辞職後、離婚して一家離散を経験する。そして失踪してしまった娘を、理想の家族像を取り戻そうと執念で捜索する男だ。08年「パコと魔法の絵本」以来5年ぶりに中島監督とタッグを組む役所は「果てしなく渇いている狂気と暴力。孤独から抜け出すために、壊れた家庭を再生しようと、もがくほど何もかもが壊れていく、愚かで孤独な男を懸命に演じたい」という。

 娘役には、これが映画デビューとなる小松菜奈(17)が抜てきされた。さらに妻夫木聡(32)オダギリジョー(37)橋本愛(17)二階堂ふみ(18)中谷美紀(37)ら豪華な共演陣が脇を固める。

 「進撃の巨人」(来年公開)を降板後、仕切り直しとなる中島監督は「最低最悪の主人公を演じる役所さんの勇気、小松さんとの劇的な出会いがこの物語の映画化を決意させました。日本映画にかつてないバイオレンス・ファンタジーを目指し、血まみれで撮影します」と話す。来年夏公開。