湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、今季ホーム初黒星に「ホームゲームで勝ち点1も取れなくて、非常に監督として責任を感じています」と、落ち着いた口調ながら反省の弁を口にした。

 総括 最初のセットプレーの取られ方とか守り方がチグハグになっちゃって。前半が特に、もったいなかったなと。その中でも、リスクはあったんですけど相手の浅く広く使うビルドアップの寸断にいった。でも(FW神谷)優太とか(FW斉藤)未月は、若さが出ちゃったかなと思います。後半は、ハーフタイムに立て直して(FW)2人を入れたんですけど、それで良くなったというよりは後半、選手が割り切って点を取りたいという気持ちで、何度も決定的なチャンスになった。でも決めきれず…負ける時の展開と、よく言いますけど、シュートを決められないことを嘆いても、しょうがない。より、たくさんの効果的なチャンスを、という意味では後半は悪くなかった。それで、悪くなかったからで済ませていいというものじゃないというのは自分で分かっているので。5月に7試合ある。8試合を1クールと捉えていて、第1クールの勝ち点を上回るためには、最初に黒星で始まったのを、ネガティブに捉えるのではなく、次のエネルギーとしてやっていかなければならない。大分さんが1点取ったので、後半はほとんどカウンターみたいな展開になったが、選手はチャレンジしてくれたし、意気込みは後悔していないし、後半はよくやってくれたと思う。若い選手と中堅クラス、けが人もいる中で、経験の浅い選手、経験がある選手、どちらも同じ意識でやらせている。シーズンが始まって、チグハグになる場面もあるかなと想像していましたが、今日はチグハグと言うより1点、先に取られたことが選手の予想を超えていて、足や思い切りをなくしてしまった。僕のやらせ方が悪かった。連敗だけしないように、次のファジアーノ岡山戦に向かいたい。

 -大分トリニータの片野坂知宏監督が、湘南は前に出てくることが分かっていて、FWが出てくれば数的有利になるのが分かっていて、狙い通りに数的有利で攻められたと語っていた

 曹監督 その部分で言ったら、そうだったと思いますよ。ただ、後ろが同数になっても、行って引っかけたら1点というリスクも背負って(大分は)やられている。現に何回か彼らもピンチになっていた。狙い通りと言えば狙い通りでしょうが、こっちも狙いは、そういうところにあったので、どっちかに分があったという感じはないと思う。そのボールでシュートに行かれた場面は、ほとんどなかった。ポゼッション、はがす意味では彼らの狙いだったと思いますけども、僕は見ていて、プレッシャーが徐々にボディーブローのように効いてきて、どこかで引っかけられたらチャンスになると思った。前半のプレッシャーが後半、相手の足を止めたということもありますし。そっちから言ったらそうですけど、こっちから見たらそうだ、という見方で、僕はそんなに大分さんの狙い通りにはまったなという感じは今のところ受けていない。大分さんの見方からしたら、そうだっただろうなと、容易に想像は出来ます。

 -後半頭からFW2枚(ジネイと表原玄太)を一気に投入。想定外だったことは?

 曹監督 (先発のMF石川)俊輝は、ちょっと体のトラブルがあって替えたところがあった。未月と俊輝は、どっちかというとプレッシャーにいける選手。ただ相手が1点取って、ポゼッションが、より後ろに行くだろうなと思った。ボールが収まってドリブルできるヤツと、運べるヤツがいた方が、相手に圧力をかけられるんじゃないかと思って、戦術的な理由で替えた。彼らが悪かったわけじゃない。

 -神谷と斉藤に若さが出たと言ったが

 曹監督 僕の中では、全くの想定内の話。彼らは1もしくは2年目の選手で、プレッシャーの掛かるピッチに立って、ミスしたらいけないという、責任を負わせながらやらせている。2人とも、1点を先に取られたことで「俺たちがやらないと」と、普段のプレーのリズムを失っていた。未月に関してはプレッシャーの速さはありましたけど、攻撃の時に少しエネルギー切れしているところがあった。優太も途中から良くなったけれど、あれをコンスタントにやっていかないといけない。ただ、彼らが悪いとか、ダメだった、彼らのせいで負けたとは全く思っていないし、逆にああいう経験を次に生かしてほしい。その中で、勝ち点3を取りにいかなければいけないし、取れなかったのは僕の責任だと思っています。若さが出たというのは、特に悪い言葉じゃない。メチャクチャいい言葉でもないですけど、若いんだから若さが出ただけで、次につなげてほしいということです。

 曹監督はこの日の黒星を糧に、斉藤と神谷が成長することを期待した。【村上幸将】