モンテディオ山形が北上する桜前線に呼応するように、満開の桜に囲まれたホームでようやく花開いた。京都サンガFCを1-0で下して2連勝を飾り、うれしい今季ホーム初勝利も挙げた。途中出場のFW中山仁斗(26)が試合終了間際、劇的なロスタイム弾をダイビングヘッドでたたきだし、土壇場で決勝ゴールを決めた。順位も11位に浮上した。

 時計の針は90分を過ぎていたが、中山はあきらめなかった。0-0で迎えた後半ロスタイム3分、左サイドからDF栗山直樹(27)が頭で折り返したボールに、中央付近で反応した。「きたなと思った」と頭からボールに飛び込み、ゴールネットに突き刺した。「狙っていました。足より頭からいった方が確実だと思った。しっかりボールを目で追うことができた」とドンピシャのゴールが決まると、歓喜の雄たけびを上げイレブンの祝福に応えた。

 昨年8月のアウェー松本戦で左足を骨折し、半年間ものリハビリを余儀なくされた。今季2得点目、通算4ゴール目はホーム初得点となり、集まった約5000人のサポーターにも復活をアピールした。木山隆之監督(44)は「昨年より体も切れているし、運動量も上回っている。苦しみながらも取り組んできた成果」と評価した。

 中山のゴールで貴重な勝ち点3を拾った。チームも球際に強さを発揮し、高い位置からのプレスでボールを奪いショートカウンターで何度も相手ゴールを脅かすなど、連動性も高まりつつある。木山監督は「なかなかうまくいかないこともあったが、今の選手たちの良さが生きる戦い方を模索してやってきた。前からプレスに行く意識が良くなったし、全員でハードワークして、相手コートにボールを置いて戦うことができるようになった」と、手応えを口にした。

 次節はアウェーで松本と対戦する。「けがをした場所だし、チームの3連勝も懸かっている。しっかり点を決めて勝てるように頑張りたい」と中山。因縁の地で成長した姿を見せつける。【下田雄一】