黒い彗星デービスV/W杯Sスケート
<スピードスケート:W杯コラルボ大会>◇最終日◇29日◇イタリア・コラルボ屋外リンク
【コラルボ=村上秀明】男子1000メートルで、1分7秒03の世界記録保持者のシャニー・デービス(23=米国)が1分9秒26で優勝した。屋外世界新で制した前日と同タイムで、同種目は今季出場のW杯で6戦6勝となった。1500メートルとの2種目で、五輪ではスケート界初の黒人金メダリストの期待が高まる。男子500メートルは及川佑(25)が35秒42で3位、清水宏保(31)は7位だった。女子1000メートルでは外ノ池亜希(26)が3位に入った。
手が付けられない強さだった。9秒台のゴールが続くハイレベルの中、最終組のデービスがあっさりトップを奪った。W杯1000メートルで今季無傷の6勝目。「ハッピーだよ。負けるのは嫌だからね」。五輪の歴史を書き換えるかもしれない男が、また表彰台の一番上にいた。
褐色のスケーターは、04年2月の世界選手権で彗星(すいせい)のごとく現れた。スピードスケートという圧倒的な白人優勢の競技で、国際デビュー戦ながらいきなりの総合2位。1カ月後の世界距離別では1500メートルで圧勝し、周囲の度肝を抜いた。
昨季は1500メートルで当時の世界新をマークし、1910年に始まった伝統の世界選手権で初の黒人王者に輝いた。今季は1000メートルで1分7秒03の世界新を樹立。日本の長田強化副部長は「技術以前に、黒人の並外れた身体能力でずばぬけている」とうなる。
187センチの長身で、長い手足を生かした大きな滑りが武器だ。さらに02年ソルトレークシティー五輪でショートトラック(ST)の米国初の黒人代表となったように、巧みなコーナーワークもある。STの代表選考会で転倒し、トリノ五輪での「二足のわらじ」こそならなかったが、逆に中距離に専念できる環境が整った。
指導するフェン・コーチは「黒人初の大リーガーとなったジャッキー・ロビンソンや本塁打王のハンク・アーロンの写真を見て、彼は目を輝かせていた」と話す。「シーズン通して勝ち続ける」と豪語する革命児を、パイオニア精神が支えている。
素顔は「シャニー・ジュニア」と自ら名付けたクマの縫いぐるみを持ち歩く変わり者。「母親がいるシカゴを長い間、離れたくない」と、昨季までは世界を転戦するW杯に1度も出場していなかった。黒人が五輪金メダルならスケート界初の快挙。最強のマザコン? が世界を驚かせる。
[2006/1/30/08:42 紙面から]
写真=男子1000メートルで2日連続の優勝に輝いたデービス(撮影・鈴木豊)
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