世界ランキング9位で15歳の伊藤美誠(スターツ)が、五輪デビュー戦で躍動した。女子団体1回戦でポーランドと対戦。石川佳純(23)が勝利した後の第2試合(シングルス)で、相手エースの同30位リー・チェンに3-1で勝利。福原愛(27)と組んだダブルスでもグジボフスカ、パルティカ組に3-1。大舞台でも平常心で2勝を挙げ、金メダルを狙う日本チームの好発進を導いた。13日の準々決勝(日本時間14日午前7時半)では、オーストリアと4強をかけて対戦する。

 伊藤の笑顔が止まらなかった。12年ロンドン五輪を生観戦し、本気で「打倒中国」を掲げ、小6時の作文にもつづった初の夢舞台。「私は応援してくださる方がたくさんいると盛り上がるほうなので、オリンピックの舞台は好きだな、と思いました。全然緊張しなかったですし、楽しかったです」。リオ五輪シングルス女王に輝いた丁寧(中国)に4月の五輪予選で勝った「スーパー15歳」は、プロツアーとは比較にならない選手の迫力や会場の異様な雰囲気さえもワクワクしながら、結果を出した。

 シングルス2番手に起用されると、5連続得点でスタートを切った。台上での速い攻撃で相手を翻弄(ほんろう)。小学校のころから韓国アイドルグループ「少女時代」の大ファンで、最近は男性グループ「三代目

 J

 Soul

 Brothers」に夢中。「今からでもダンスを習いたいんですよね。東京五輪のあとはダンサーデビュー、ありますよ」。踊るような小気味良いフットワークで、低く鋭い強打を連発した。

 ダブルスを組んだ福原との「あいみまペア」も息はピッタリだった。サインは伊藤が主導権を握る。福原のお膳立てを、確実に得点につなげるのが必勝パターン。「技の引き出しの多さを武器にしたい」とした福原の横で「一緒です~、キャキャキャ」。石川と福原の“お姉さん”も顔を見合わせてほほえみ、たくましさを感じていた。

 次の相手を「オーストラリア?

 リア?」とボケる。たまらず福原が「カンガルーじゃないよ、ウィーン合唱団のほうだよ」とツッコミをいれる。“日本最強3姉妹”が心を1つにして世界最強に挑む。【鎌田直秀】