<国際親善試合:日本2-0チュニジア>◇27日◇大分銀行ドーム

 ハリルホジッチ監督のやりたいことが、攻撃面においてよく見えた試合だった。大分合宿でチームが始動し、練習はまだ4日だけ。短期間のうちに伝えられたであろうコンセプトを、選手がそのまま忠実にピッチで実践していた。

 新しい選手が多く出た前半はその傾向が強かった。中盤から前線にくさびのパスを入れ、相手のゴールに近い位置でワンタッチ、スルー、フリック(角度をわずかに変えて流す)といった動きで、手数をかけず、より直線的にゴールへと迫っていた。選手同士の距離感も近い。連係不足、コンビネーションの問題からゴールに結び付くことはなかったが明らかな変化、良い兆しを感じた。

 後半は本田選手、岡崎選手、香川選手を投入し勝負にこだわる姿勢も感じさせた。ただ、守備面はアジア杯で犯したミスと同じような不安なシーンもあった。おそらくまだ手つかずなのだろう。ただ、攻守とも新監督の色が出てくるのに、さほど時間はかからないだろう。やりたいことがはっきりとひとつでも見えた。それだけでも収穫は大きい。(日刊スポーツ評論家)