日本代表FW岡崎慎司(30)が所属するレスターがプレミアリーグ初制覇を成し遂げました。英国史上最大の番狂わせと言われた優勝。清水時代に岡崎とチームメートだったFW大前元紀(26)は先輩の快挙を自分のことのように喜んでいました。

 大前 率直にすごいことを成し遂げたと思う。チームへの貢献度も高かった。プレミアで優勝したし、これでエスパルスに戻ってきてプレーしてももらえればベストだと思いますけどね。刺激になりました。

 大前は08年の清水入団から3年間、岡崎とプレーしていました。当時は岡崎が絶対的エースとして君臨したため、大前の出場機会はほとんどありませんでした。3年先輩の岡崎が先にブンデスリーガへ移籍すると、その後、追うように大前もデュッセルドルフへ移籍。当時の大前は「岡ちゃん(岡崎)がドイツに移籍してから、自分も海外を強く意識するようになった」と話していました。

 今でも親交が深く、岡崎が海外から一時帰国した際には食事に行くことが多いといいます。大前は岡崎を尊敬する選手の1人に挙げています。そんな偉大な先輩からのひと言がなければ大前は今季、清水でプレーしていなかったかもしれません。これです。

 「俺だったら残るけどな」

 昨季、クラブは成績不振でJ2に降格。大前は移籍かチームに残留するか、悩んでいました。そこで岡崎に助言を求めて連絡した時の返事は、清水残留を促すものだったのです。必ずしもその言葉が全てではなかったと思いますが、大前はチームに残る決意を固めました。主将にも就任。「J2得点王&J2優勝」を目標に掲げ、奮闘しています。現在、8得点で得点ランクは単独トップ。チームの順位は6位と苦戦していますが、大前自身は好調を維持しています。

 4月23日のアウェー北九州戦では後半ロスタイムに右クロスから頭で合わせて決勝弾。チームを勝利に導いた劇的な一発は岡崎の代名詞でもあるダイビングヘッドでした。試合後、大前は「ゴール前への入り方は岡ちゃん(岡崎)を参考にしている。厳しい試合を勝てたことはでかい」と言いました。

 清水のエースから日本代表のエースとなった岡崎。その背中を見て、清水のエースへと成長した大前は常々、こう言います。

 「FWはゴールを決めることでチームを引っ張れる。今年はどんな時でもじれずにやり続けたい。最終的な目標はJ2で優勝してJ1に戻ることです」

 岡崎の快挙を見て、その気持ちはさらに強くなったのではないでしょうかあ。名門クラブの再建へ、大前の存在は欠かせません。主将でエース、10番を背負う26歳のさらなる奮闘に期待したいと思います。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。