日テレが、プレナスなでしこ杯で6年ぶり4度目の優勝を果たした。3日に行われた決勝戦で初タイトルを狙う千葉に4-0で勝利。3年ぶりに復活した大会で、大会を通じ失点1の強さを見せつけた。

 優勝の裏には、ある思いがあった。先日、東北地方を直撃した台風10号。コーポレートパートナーである「岩泉乳業」が被災していた。同社の人気商品「岩泉ヨーグルト」が製造休止に追い込まれた。近くの川が氾濫したためで、岩手・岩泉町にある工場の1階部分が浸水。機械が使用不能になっていた。

 実はこの「岩泉ヨーグルト」がチームを胃袋から支えていた。多くの選手が練習後や前に食べるのが日課。日本代表DF村松智子(21)は「いや~本当に今まで食べたヨーグルトで一番おいしくて。もっちりとした食感。食事と一緒によく食べてます」とほおを緩ませる。練習場から自宅へ持ち帰る選手も多いという。おいしいだけでなく、乳タンパクが豊富で、筋肉増強にもうってつけ。まさに日テレの強さの一助となっていた。

 日ごろお世話になっている人が苦しんでいる時だからこそ、勝って少しでも元気を届けたかった。試合前。主将のDF岩清水梓(29)は選手数名と観客席にいた。「お願いします」。必死に声をからしていた。岩泉乳業が拠点を置く岩泉町などへの義援金の募金活動をしていた。数時間後には決勝戦のピッチに立たなければならないにも関わらず。日ごろの感謝の思いを胸に、とにかく少しでも力になりたかった。試合後は「この優勝を届けることが、少しでもエールになるかなと。いい結果をお知らせできてよかった」と言った。

 なでしこジャパンも高倉麻子監督も「元気もらったりするのがスポーツの力」と話していた。試合後、日テレの選手たちは「まず1冠」と書かれたTシャツを着て、喜びを分かち合った。目標の3冠へ、残りはリーグ戦と皇后杯。アスリートとして、勝利こそ被災者を勇気づけることにつながると信じている。【上田悠太】


 ◆上田悠太(うえだ・ゆうた)1989年(平元)7月17日、千葉県市川市生まれ。明大卒業後、14年に入社。文化社会部ではTBSなどを取材。昨年11月にスポーツ部へ異動。サッカー班で湘南、柏、千葉を担当。