2年ぶり復帰のJ2開幕戦を制した大分トリニータの健闘を祈る。2月26日、J2開幕戦となったアビスパ福岡-大分トリニータ戦の「九州ダービー」を取材したが、バックスタンドを埋め尽くした大分サポーターは、どちらがホームか分からないほどの熱気に包まれていた。J1時代の09年に大分を担当した際、応援はJリーグ屈指の熱さを感じさせられた覚えがある。当時のままだった。

 チームもそのサポーターの後押しで序盤から覇気丸出しだった。敵地ながら福岡を押しまくり前半26分、FKからしぶとくつなぎ先制した。攻め込まれても激しい競り合いに勝ち、何度もカウンターを浴びせた。同ロスタイムにFKから同点とされたが、選手は最後まであきらめていなかった。後半ロスタイム3分、左CKからのこぼれ球を執念で押し込んで決勝点を奪った。

 昨季J3優勝の勢いがあったとはいえ、かつてJ1を経験したクラブとしてどん底を味わった屈辱を晴らす気概があった。敵ながら福岡主将のMF三門雄大(30)が「大分の方が体を張っていた。気持ちは大分が勝っていた結果、1、2点目が生まれたと思う」とリスペクトする暴れぶりだった。

 新たに12人が加わったチームだが“大分魂”は健在だった。過去にクラブ経営難で消滅危機に陥ったことがある。だが地元市民や経済界などの支援で立て直してきた歴史がある。就任2年目の片野坂知宏監督(45)は会見で「サポーターにアウェーの勝利をプレゼントできてホッとしている」と話した。地元愛もチームにパワーをもたらしたに違いない。次は3月4日の東京V戦(味スタ)。アウェー2連勝で3月11日のホーム開幕戦(大銀ド)につなげてもらいたい。

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。