<高校サッカー:日章学園2-0富岡>◇31日◇1回戦◇埼玉

 富岡は初陣を飾ることはできなかった。両太もも裏を肉離れしている、富岡DF本田慎之介(3年)が強行出場したが、本来の動きを見せられなかった。「最後の大会なので、出たかった。でも前半15分くらいで右足に違和感が出た」と涙をこぼした。全力で走ることができなかった。後半20分、中央を突破した相手選手に追いつけず、目の前で先制点を献上。ピッチにうずくまり「先制点をやってはいけなかった」と唇をかんだ。

 福島県選抜で、本田を中学3年生のころから指導した佐藤弘八監督(38)は「やっとここまで来たけど、もったいない。1試合で帰るのはもったいない」と、実力を出せなかったことを悔やんだ。初めての全国の舞台で、簡単には勝てないことを、思い知らされた。

 両目を真っ赤にして本田は「自分から(プレー続行不可能と)伝えた」と、後半33分にピッチから退いた。「もっと早く退けば、失点はなかったかも…。結果的に判断を間違えた」と悔やむばかりだ。それでも、選手権の雰囲気を肌で感じたことは、今後の富岡の飛躍につながるはずだ。貴重な財産をチームに残し、本田はJ1磐田でプロの道を歩む。【山崎安昭】