<高校サッカー:大津3-2藤枝東>◇3日◇3回戦◇三ツ沢
あと1点が遠かった。38年ぶりの優勝を狙った藤枝東は、全国総体4強の大津(熊本)に2-3で敗れた。2点ビハインドで迎えた後半10分に、MF海野智之(1年)のゴールで1点を返した。だが、10分後に突き放され、残り6分でDF岡崎太一(3年)の意地の一撃で再び迫ったが、あと1歩及ばなかった。それでも、どん底からはい上がってつかんだ全国で、今季一番の試合を見せた。V奪還の夢は、後輩へと託された。
FW村松一樹(3年)は足をつっていた。DF増田有岐(3年)の右太ももは痛みで限界だった。それでも、同点にできると信じて走った。2点目を決めた岡崎はDFラインに戻らず、前線で最後のチャンスを信じて待った。だが、無情な笛が響き渡った。届かなかった1点。目を赤く腫らした大石和孝監督(51)は「良くやったし、流れも良かった。ただ、1点が遠かった」と声をしぼりだした。
前半12分にこぼれ球を、同25分には右クロスを詰められて2点を失うも「スタミナは自信がある。後半に逆転できると思っていた」とMF藤田息吹(3年)。言葉通り、後半は運動量で圧倒し、左から海野智が1点を返した。その後もチャンスはあった。だが、大事な次の1点を奪ったのは大津。MF小林勇輝主将(3年)は「3点目がきつかった。ダメージがあった」。FW新井成明(3年)も「決めるところで、決められなかった」と悔やんだ。
屈辱の幕開けから、駆け上がってきた。08年1月14日に国立で敗れた日。出番がなかった村松も号泣し「来年こそ」と夢を抱いた。だが、その場で周囲に「来季は県大会出場が目標か」とやゆされた。新人戦、総体は県16強止まりで、気持ちは崩れかかった。そこで、小林主将を中心に昼休みにトレーニング室へ集まった。最後の選手権への思いを順に語った。目指すべきものを見つめた時、やっと気持ちが1つになった。
今年、スターはいなかった。昨季は選手権の先発組とサブ組で紅白戦を行うと6-0など大差が必ずついたが、今季はサブ組が勝つこともあった。新井は「3年を中心に、全員で頑張ったチーム」と胸を張った。国立への夢は破れたが、県16強止まりだったチームは、最後に全国16強になった。「次こそ勝ってほしい。僕らは新人戦も総体もダメだったけど、少しは良いところを受け取ってくれたら」と藤田。ふじ色の魂は、また次代へと受け継がれていく。【今村健人】



