<高校サッカー:市船橋2-1四日市中央工>◇9日◇決勝◇国立

 延長戦の末、四日市中央工を破り、9年ぶり5度目の優勝を果たした市船橋。試合後ゴールを守ったGK積田景介(3年)は「こんなドラマがあっていいのかという気持ち。最高です!」と、喜び笑顔を見せました。

 前半開始直後の失点は、初戦となった2回戦の長崎日大戦と同じ展開。あの試合以来、立ち上がりは慎重にいこうと話し合っていただけに、再び同じミスをしてしまったことに一度は下を向きかけました。しかし「やってしまったことは仕方がない」とすぐに切り替え、仲間が点を取ってくれるのを信じ、その後は好セーブを連発。3年間共に戦ってきた主将和泉竜司(3年)のゴールに「あいつなら大きな舞台でやってくれると思っていました。すごいヤツが仲間で良かったですね」と、自分のミスを取り返してくれた仲間の活躍を喜びました。

 これまで全試合のゴールを守ってきた積田を3年前、市船橋に熱心に誘ったのが、伊藤竜一GKコーチでした。GKとしての技術も戦術理解力もすべてが足りなかったという積田でしたが「オレが絶対にお前を変えてみせる」という伊藤コーチの一言で市船橋でプレーすることを決意。入学当初は、監督やコーチが話すことを理解することさえ難しかった言います。しかし、2年でレギュラーの座をつかむと、夏には高校総体優勝を経験。その後上級生にポジションを再び奪われるなど、紆余(うよ)曲折がありながらも、伊藤コーチの言葉を信じ、3年間努力を積み重ねてきました。

 高校生活最後の試合。優勝が決まった直後、伊藤コーチからかけられた「すごいよ!」の一言。「その言葉が聞けただけで、3年間頑張ってきて本当に良かった」。3年間、自分を信じてくれたコーチと抱き合ったとき、あふれ出たのは感謝の涙でした。卒業後は大学に進学し、プロを目指します。「自分はまだまだGKとしては素人。またこれからの4年間で自分を磨いて、1日1日を大事にしていきたい」。市船橋で大きく成長した積田の挑戦は、これからも続いていきます。!(サッカーai編集部

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