<アジア大会・サッカー:日本4-1クウェート>◇男子1次リーグD組◇14日◇韓国・仁川

 U-21日本代表FW鈴木武蔵(20=新潟)が初戦のクウェート戦で2ゴールを挙げた。1-0の後半5分に頭で合わせると、同39分にはダメ押しの4点目を決めた。手倉森ジャパンでは練習試合も含め、10試合目で初ゴール。父親の母国、ジャマイカの英雄ウサイン・ボルト(28)からもエールを送られた若武者が、10年広州アジア大会に続く2連覇へ好発進した。得失点差でD組2位につけたチームは、17日にイラク(同1位)と対戦する。

 左手の人さし指を、仁川の夜空に高々と掲げた。1-0の後半5分、DF植田が折り返したボールを頭で押し込むと、鈴木はもう次のことを考えていた。祝福に群がる仲間が離れると、悠々と陸上男子100メートル世界王者と同じライトニングポーズを決めた。「すぐポーズを決めちゃうと、みんなが来るので。独り舞台になってからやろうと決めていた」。計画通りのパフォーマンスで初戦を飾った。

 手倉森監督の就任後、10試合目で初得点。もがき続けたが、大舞台の初戦でついに殻を破った。同39分にはDF室屋の低めの右クロスに右足でドンピシャ。「成(室屋)と目も合っていたし、理想的な得点」と充実の笑顔で話した。

 ライトニングポーズ。ボルトの代名詞を、どうしてもやりたい理由があった。所属する新潟でもパフォーマンスしていることを知ったボルト本人から、1週間前にテレビを通して「W杯を目指せ。点をとり続けろ」とエールをもらった。「ビックリしました。くれるなんて思わなかったので…」。十分すぎるエールを、力に変えた。

 2ゴールした後のポーズは忘れたが、国際大会の映像は多くの人の目に触れる。ボルトの目に届くまで、得点を重ね続ける。【木下淳】