バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が就任から3連勝を飾った。日本代表監督として史上2人目。手応えは開始15分で明らかになった。開始からずっと立っていた指揮官は前半15分で1度ベンチに戻り、腰掛けた。試合のたび、選手には「(開始)10分で相手を把握しろ」と指示。その10分間で選手たちは2-0と一気に畳みかけた。指揮官は余分に5分かけ、明らかな相手との力関係から勝負アリとみたのだろう。「美しい勝利に満足している。フットボールとして素晴らしいものを提供できた」と口にした。

 後半は5日後のW杯アジア2次予選初戦シンガポール戦(16日、埼玉)を見すえ本田ら主力を計画的に交代させた。この試合は同予選に向けたテストマッチ。それでも前日10日に「W杯は明日から始まると思っている」と“開幕”を宣言。ピッチには「今日はかなりテクニックのある選手を選んだ」と本田やMF香川、宇佐美を並べたベスト布陣を送り出した。

 今回の活動を見すえ4月末から欧州視察に出掛けた。試合を見て、夜には選手を集めてともに食事をとり“ハリルの晩さん”で相互理解を深めた。その場でシーズン佳境を迎えていた欧州組の選手に、いつから代表に合流できるか、まるで“圧迫面接”ともいえる勢いで聞いて回った。

 自ら動いて熱望する海外組の段階的早期招集への道筋をつけ、この日の快勝につなげた。満足げに「予選に向け素晴らしい門出だ。選手にブラボーと、全国のみなさんにありがとうと言いたい」と結んだ。【八反誠】

 ◆就任初戦から国際Aマッチ3連勝 ハリルホジッチ監督が就任初戦となった3月27日のチュニジア戦から3戦全勝。初采配からAマッチ3連勝は、Jリーグ創設時に監督だったオフト体制以降初めて。それ以前には長沼健監督が、63年の第1次体制時に初戦から3連勝、72年の第2次体制でも3連勝を記録しており、ハリルホジッチ監督が史上2人目。