【ダラス(米国)14日(日本時間15日)】主将の魂が劇的ドローを呼び込んだ。日本代表はケガで離脱したMF遠藤航(33=リバプール)のユニホームをベンチに掲げて強豪オランダに立ち向かい、2度のリードを許しながら終盤に追いついた。世界に見せつけた執念。原動力となったのは、偉大なキャプテンからの激励メッセージだった。突然いなくなった背番号6への感謝を胸に、結束を強めた日本が世界一への第1歩を踏み出した。

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ベンチに飾られた6番のユニホームには「ENDO」と記されていた。試合3日前にチームを離れた遠藤の分まで戦う覚悟で挑んだ初戦。日本は、主将が示し続けてきたような粘り強さを発揮して勝ち点1を手にした。

試合前夜。遠藤からチームにビデオメッセージが届いた。オランダ戦に向けて戦術を確認する全体ミーティングで流れた。新主将のDF板倉が振り返る。「航君の思いを聞かせてくれた。自信持って戦ってくれと言ってくれた。おのずと士気は上がった。あれを機にチームとしても結果を出さないと、という思いは非常に強くなった」。

同点弾をお膳立てしたFW小川も動画に背中を押された。「航君の顔を見るだけで見守ってくれてるような気がして心強いというか、一緒に戦ってるんだという思いになった」と感謝した。

11日朝、チームに激震が走った。練習前のミーティングで森保監督が、遠藤がすでにチームを去ったことを周知。涙を流す選手もいた。本人の意向であいさつはなし。3年半にわたってチームを引っ張ってきた主将がいなくなることは少なからぬ動揺を与えた。

それでも板倉やベテランを中心に難局を乗り切った。12日夜には選手ミーティングも実施。13日のメッセージもあいまって「航のために」はより一体感を高めるための重要な要素となった。この日キャプテンマークを巻いたMF堂安は言った。「このキャプテンマークは遠藤航君のもの。すごいポジティブなエネルギーで試合に臨もうと思った。全てを出し切るつもりだった」。引き継いだアームバンドから力を得た。

チームは2度の失点後も下を向くことなく、ピッチに集まって状況を確認。堂安が「2点差はないよ」とリスクを負いすぎないことを共有するなどして見事に追いついた。「頭は冷静に、心は熱く」をピッチ上で体現してきた遠藤の闘志は確実にチームに息づいている。【佐藤成】

◆遠藤の離脱経緯 2月11日のサンダーランド戦で左足甲の靱帯(じんたい)を痛めて手術。リハビリに励み、5月31日のアイスランド戦で復帰していた。しかし同試合で左足に違和感を覚え、前半のみで交代。6月2日から始まったメキシコ・モンテレイでの事前合宿から別メニュー調整が続いていた。復帰に向けてオフ返上でリハビリするなど懸命に取り組んでいたが、オランダ戦4日前の10日夜に森保監督から離脱を通達された。翌朝チームを離脱。新主将となるDF板倉とは話す機会があったが、仲間にあいさつすることはなく去った。その直後にSNSで代表引退を発表。チームには驚きをもって受け止められた。

日本2度追いつきオランダに貴重勝ち点1 小川航基ヘッド鎌田大地に当たり後半44分に同点/詳細