<アジア大会:日本1-0中国>◇女子準決勝◇20日◇越秀山体育場

 なでしこジャパンが120分間を戦い抜き、1-0で中国を破り決勝に進出した。0-0で迎えた延長後半3分、DF近賀のシュートのこぼれ球を、FW大野忍(26)が押し込み決勝弾。何度もあった決定機を外し頭を抱えていた155センチの小さなエースが、最後に大きなガッツポーズをみせた。「本当にうれしかった。みんなから、あんなに丁寧に蹴っているのはらしくないと言われました」と土壇場での精神力の強さを発揮し牙城を崩した。

 来年6月のW杯出場権を争う5月のアジア杯初戦で足を負傷。離脱せざるを得なかった悔しさが発奮材料となった。「みんなに迷惑かけたのでかけてます」と強く臨んだ大会で結果を出した。約3万人収容の会場も満員。君が代に拍手が送られるほど和やかな雰囲気だったが、両チームの気持ちの入った激戦が、ブーイングではない歓声を生んだ。

 「決勝戦でも同じことができるようにしたい。優勝して帰りたい」。大野にはアジア大会初優勝しか見えていない。佐々木監督は「来る前は思いっきり『勝つ(優勝する)』と言ったけど、攻撃がよくない。冷や汗の勝利」とホッとした表情だった。22日の決勝では前回大会王者の北朝鮮と対戦する。【鎌田直秀】