<女子W杯:日本4-0メキシコ>◇1次リーグB組◇1日◇ドイツ・レーバークーゼン

 女子W杯5大会連続出場のMF沢穂希(32=INAC)が、ハットトリックの活躍で日本を1995年のスウェーデン大会以来4大会ぶりの決勝トーナメント進出に導いた。メキシコ戦の前半13分にFKから頭で先制ゴールを決め、日本代表通算76得点として、並んでいた男子の釜本邦茂氏(67)を超える日本代表最多得点記録をマーク。同39分、後半35分にもゴールを重ねて、4-0の勝利の原動力になった。1次リーグ第3戦のイングランド戦は5日に行われる。

 沢がW杯の大一番で「釜本超え」を成し遂げた。0-0で迎えた前半13分、MF宮間の左からのFKを頭で合わせて先制ゴールを決めた。並んでいた釜本氏を超える代表通算76得点目。左胸の日の丸をつかんで、ガッツポーズをし、仲間の祝福に包まれた。この一発がチームを勢いづかせた。そのわずか2分後、FW大野が続いた。

 沢の勢いも止まらなかった。同39分には宮間の左CKにニアに走り込み、再び頭で合わせてチーム3点目。後半35分には右サイドを抜け出したDF近賀のグラウンダーのクロスを、ゴール正面に走り込み、落ち着いて右足でゴール。W杯通算6ゴール目を決めた。日本人のW杯でのハットトリックは03年米国大会アルゼンチン戦(6-0)のFW大谷以来2人目となった。

 沢

 最初の2点は宮間選手と目が合ったので当てるだけでした。3点もとれるとは思わなかったのでびっくりしています。ハットトリックは想像もしていなかった。

 93年12月6日のフィリピン戦で15歳で代表デビュー。その試合でいきなり4得点を決めた。以来、169試合目で頂点に立った。95年スウェーデン大会からW杯5大会連続出場は男女通じて史上最多タイ記録でもあった。今大会と来年のロンドン五輪をサッカー人生の「集大成」と位置付けていた。「この年齢になるとバランスをとることが最優先。でもセットプレーの時だけは思い切り狙いますよ」と大会前に話していた。その言葉を本番で体現してみせた。

 沢のサッカー人生第1号ゴールは小2の時。1つ上の兄典郷さんが出場した大会「狛江杯」を母と応援に行った。当時は本格的な練習などしていなかったが、試合途中にコーチから「出てみないか?」と声を掛けられた。ユニホームを借りて、0-0の後半開始から途中出場。サッカー経験のない小さな女の子が、いきなり決勝ゴールでチームを勝利に導いた。

 試合後は「帰ったら釜本さんに怒られるかも」と笑った。しかし、大阪・豊中市の自宅で試合をテレビ観戦した釜本氏は「沢さんを中心に日本のチーム全員が良いリズムで戦っている。この大舞台で結果を出すのはすごいこと。これを見た女の子がサッカーをやりたいと思ってもらえる良いきっかけになったのは間違いない。娘のように思っているので自分のことのようにうれしい」と喜んだ。

 日本は第1戦のニュージーランド戦に続き、W杯で初めての2連勝。1次リーグ最終戦のイングランド戦を残して決勝トーナメント進出を決めた。「イングランド戦が残っているんですが、1位通過狙って頑張りたい」と沢。次の目標は95年スウェーデン大会で挙げた最高成績ベスト8超え。大黒柱の活躍で、日本女子サッカーの歴史が大きく変わりそうだ。【鈴木智貴通信員】