沢が、女子W杯日本大会の顔になる。日本が、2023年女子W杯日本開催を目指していることが11日、分かった。FIFA(国際サッカー連盟)2011年間表彰で、女子最優秀選手賞を受賞したなでしこジャパン沢穂希主将(33=INAC神戸)は、既にW杯招致の全面協力を明言。実現に向け現在、日本サッカー協会と文科省が協議を重ねており、今年中に招致委員会が発足する可能性もある。

 夢のプランは、着々と進んでいた。複数関係者によると現在、日本協会と政府間で、23年女子W杯日本開催を目指し、協議していることが判明した。同プランは2年前から持ち上がっていたが、昨年7月にW杯で優勝して以来、一気に加速した。

 日本協会の小倉純二会長は「女子サッカー熱が高まっているし、早い方がいいから、19年開催を目指したいけれど、この年はラグビーのW杯が日本で開催される。世界的に大きなイベントを2つやるのは難しいので、女子W杯は23年開催を目指す」と話した。現在、15年大会はカナダ開催が決まっており、日本は19年開催をパスし、23年招致に全力を注ぐ構えだ。

 そのシンボルとして、世界に日本開催をアピールする役割は、沢に任されそうだ。沢はW杯優勝直後「女子W杯の日本招致もそうですし、少しでも日本サッカー界に役立つ仕事ができるなら率先してやりたい。各国の会長さんたちも、私のことを知っていると思うので、招致委員長でも、何でもやります」と、既に全面協力を約束している。

 名将の仲間入りを果たした佐々木則夫監督から「沢は日本の女子サッカーの象徴みたいな存在」と後押しされており、小倉会長も「みんな日本女子の戦いを見ていたようだ。沢のことはみんな(世界各協会会長)知っている」と、沢の世界的な知名度を前面に出す構えだ。

 23年女子W杯開催地決定時期は、17年となる。昨年6月までFIFA理事を務めた小倉会長は「W杯開催地決定を6年前にしたのは、男子も含めW杯直前にスタジアムがまだできてないとか、という問題があるから」という。日本は今年中に招致委員会を発足する可能性がある。大会実現へ十分に準備したというアピールになり、5年もかけ、地道に活動していくことは、大きなアドバンテージとなる。

 沢はこの日の帰国会見で「この賞をたくさんの子供が目標にしてくれれば…。不可能はないというのを証明したと思うし、多くの女の子たちがサッカーを目指してくれれば、と思います」。W杯優勝、沢の年間最優秀選手賞に刺激された少女たちが、サッカーに入門し順調に成長していくと、11年後の23年には、なでしこジャパンに入る年齢の女子サッカー選手数が一気に増えるはず。再度のW杯優勝も夢ではない。

 ◆世界大会招致のシンボル

 今夏のロンドン五輪にはイングランド代表主将も務めたMFベッカムが前面に立ち招致をPRした。18年平昌冬季五輪決定には、女子フィギュアスケートでバンクーバー五輪金メダルの金妍児がアンバサダーを務めた。22年W杯招致では、カタールが元フランス代表のジダン氏をアンバサダーに置き開催を勝ち取った。日本は16年五輪に向けて、競泳の北島康介ら8人のアスリートでアンバサダーを置いたが招致に失敗している。

 ◆女子W杯

 FIFAが主催する女子の世界大会で、91年の中国大会を皮切りに4年ごとに行われている。次回15年大会はカナダで開催される。参加国数は91年と95年スウェーデン大会では12、その後16になり15年カナダ大会からは24カ国での大会となる。米国はこれまでの全ての大会で4強に進出し、ドイツと並んで最多の2度の優勝を果たしている。