サッカーのロンドン五輪日本代表の関塚隆監督(51)が、ボルトンFW宮市亮(19)の代表招集を示唆した。20日、五輪組み合わせ抽選会(24日、ロンドン)出席のため渡英。成田空港で21日に直接視察する宮市について、「五輪代表で活躍してくれる選手。プラスの力を与えてくれる」と話し、悲願のメダル獲得へ重要な戦力として考えていることを明かした。

 ロンドンに向かう関塚監督の口調は、いつになく滑らかだった。組み合わせ抽選会前に視察予定の宮市の話題になると、これまで選手個人の評価を極力避けてきた指揮官のトーンが一気に上がった。

 関塚監督

 もともと左のウイングとして縦にスピードで突破するのが特徴。ボルトンに移籍して、さらにゴール前の動きの幅が広がっている。五輪代表に入っても活躍してくれる。それだけのプレー、パフォーマンスをしてくれるのは分かっている。それをもう1度自分の目で確認したい。

 昨年、オランダに出向き、当時フェイエノールトで活躍していた宮市のプレーにほれ込んだが、まだ1度も招集していない。五輪代表の試合はアジア五輪予選など国際Aマッチデー以外での試合がほとんどだったため、海外組の招集は困難だった。だが、本大会に向けFIFA(国際サッカー連盟)から、U-23(23歳以下)選手が招集されたクラブは参加を認めなくてはいけないと発表されたことが追い風となる。「呼びたい選手が呼べるということは1歩進んだと思う」と関塚監督の頬も緩んだ。

 4-2-3-1の布陣では中盤のサイドでの起用が有力だ。現在は大津(ボルシアMG)清武(C大阪)東(大宮)永井(名古屋)らを臨機応変に起用しているが、左右両方をこなせる万能さと、50メートル5秒台のスピードあるドリブル突破は新たなオプションとなる。体格に勝る外国人相手のプレミアリーグでスタメンを勝ち取った。順応している英国の“ホーム”でプレーできるのも強みだ。

 24日には本大会の対戦国が決定する。5大会連続出場の日本だが、最高成績は00年シドニー五輪での8強。この日、関塚監督は68年メキシコ五輪以来のメダル獲得を目標設定した上で、「いろいろな意味でプラスの力を与えてくれると思う」と19歳の宮市を起爆剤にする考えだ。

 まずは五輪準備として来月23日からトゥーロン国際大会(フランス)に参加し、現代表と欧州組の融合をはかる。宮市もA代表のW杯アジア最終予選オマーン戦(6月3日、埼玉)に選出されず、ボルトンの許可が出れば合流予定。関塚監督の五輪18人構想が少しずつ固まってきた。【鎌田直秀】

 ◆宮市亮(みやいち・りょう)1992年(平4)12月14日、岡崎市生まれ。愛知・中京大中京からアーセナル入り。直後の昨年1月にフェイエノールトに期限付き移籍し3ゴール。今季は労働許可証を取得し、アーセナルで登録されたが、リーグ杯2試合しか出番がなく今年1月にボルトンへ期限付き移籍。2月11日のウィガン戦に途中出場し、日本人最年少となる19歳1カ月28日でプレミアリーグ初出場。同18日のFA杯ミルウォール戦で移籍後初得点。2月29日のW杯アジア3次予選ウズベキスタン戦でA代表初招集。183センチ、70キロ。