クールビューティーがクールに決める!

 U-20(20歳以下)女子W杯でベスト8に進出した「ヤングなでしこ」U-20日本代表が28日、神奈川県内で明日30日の準々決勝韓国戦(国立)に向け、全体練習を再開した。ここまで3戦フル出場で2点をマークしている不動のボランチ猶本(なおもと)光(18=浦和)は、練習でループシュートを披露。その姿は、まさに清く美しいクールビューティー!!

 佳境に入る日本の夏空に光る。

 はやる気持ちをクールに抑えた。GKとの1対1の場面で猶本は、ふわりと浮かしてループシュート。「緊張感は全然感じていません。(初戦の)メキシコ戦の方がありました。それよりも早く試合がやりたい。楽しみです」。目の前で猛然と立ちはだかる相手にも、華麗にそして軽やかにかわす。

 どこのカテゴリーでも、選手も観客も熱くなる日韓戦。明日の試合もヒートアップが予想されるが、そんなことも気にも留めないクールさを持ち合わせているのが、猶本だ。

 98年W杯アジア最終予選での日韓戦で、当時の日本代表のボランチ山口が決めたループシュートをほうふつさせるような姿。当時はまだ3歳。当然、記憶もない。

 そもそも「日韓戦ということは関係なく決勝トーナメント1回戦」と相手を気にしない。じゃあ韓国の印象は?

 「決定力があるし、カウンターはこわいけど、自分たちのサッカーをすればきっと勝てる」。自分の役割は?

 「監督にもよく言われるんだけど、守備だけでいいのはU-17(17歳以下)まで。攻撃も守備もできるようにならないと上にはいけない」と的確に心得ている。

 だが「でも、やっぱり攻撃が好き。意識してどんどんチャレンジしたい」と攻める気持ちを秘め、ここまで2得点。2年前のU-17女子W杯決勝韓国戦でも先制点を決めている。

 どんな相手にも動じず、自分の仕事をピッチ上で表現していく強さ。内に秘めた清く美しい心は、端正な顔立ちに現れている。練習でも試合でも、化粧はしないでピッチに立ち「日焼け止めだけです」とこのクールビューティーは天然素材。年頃の女心は「だって着飾ってるみたいで嫌じゃないですか」というのが本音のようだ。

 そんな猶本も、決勝T進出を決めたスイス戦後の夜は眠れなかった。FW田中美との同部屋では、ステレオにつないだiPodでJポップを流しリラックス。直前まで戦ったスイス戦の映像を前半まで見て、ようやく眠りについた。

 3日に1試合のハイペースで続く連戦にも「全然大丈夫です」。ちなみに疲労回復の秘訣(ひけつ)はというと「寝ることです」と一言。どこまでもクール。そして美しい。【栗田成芳】