日本サッカー協会が次期日本代表監督として契約間近なメキシコ人のハビエル・アギレ氏(55)が、「7色のフォーメーション」で日本を進化させる。メキシコ協会関係者が3日、アギレ氏が固定概念を捨て、新天地で選手の適性を冷静に分析してからフォーメーションなどを決断する意向を持つことを明言。メキシコ代表時代には4バック、3バックとも数種類のフォーメーションを使い分けた知将が、日本に新たな風を吹き込む。

 メキシコの知将が「7色のフォーメーション」を駆使して、日本をさらなる高みへと誘う。メキシコ協会関係者は「アギレは新天地については明かさなかったけど、選手の適性を冷静に見極め、判断して、フォーメーションなどを決めると話していた。先入観を持ちたくないと」と明かした。

 堅守速攻、前線からの激しいプレスでボールを奪いショートカウンターを仕掛ける戦術が基本のアギレ氏だが、状況に応じてボールを保持してパスを回す戦術も取り入れる。柔軟な思考を持つからこそ、日本サッカーや個々の選手への偏見を捨て、冷静に分析する。

 メキシコ代表として02年日韓大会、10年南アフリカ大会と2度のW杯に出場。スペインリーグでも4クラブを率いた中で、主に導入したフォーメーションは7通りある。「自分の手持ちの選手、対戦相手の特徴によって使い分けていた」(同関係者)と言う。

 4バックだけでも多彩な陣形を操る。ザックジャパンで主要なフォーメーションだった4-2-3-1、10年南アフリカ大会で岡田ジャパンが採用した4-1-4-1、「クリスマスツリー」と称される4-3-2-1、ベーシックな4-4-2と幅は広い。

 3バックは前任のザッケローニ監督が完成させられなかった3-4-3、両翼にウイングバックを置く3-5-2、さらに中盤の守備に重きを置く3-6-1も用いたことがある。まさに「7色のフォーメーション」だが、細かく見れば、さらに増えることもある。

 波乱がなく順調に契約がまとまれば、初陣は9月の親善試合2試合(5日・札幌ド、9日・横浜国際)になる。選手選考に時間は割けないため、この2試合についてはW杯ブラジル大会の選手やフォーメーションがメーンになる可能性が高い。9月の始動では9日間の合宿が行えることで、選手の見極めも進むはずだ。

 選手の把握が進めば、10月と11月に予定される計4試合の親善試合でアギレジャパンの「基礎」が具現化されるかもしれない。初の公式戦となる来年1月のアジア杯までのチームづくりが注目される。<過去のW杯で使ったシステム>

 ▼2・5列目

 98年W杯の第1次岡田政権下は4-4-2が基本。ただ中盤の真ん中2人には細工がしてあり、MF山口とMF名波が横に並ぶのではなく、山口が「3列目」で、少し前のポジションの「2・5列目」に名波を配置。

 ▼フラット3

 02年W杯時のトルシエ監督の基本戦術。並びは3-5-2。3人のDFを高く平行に並べ、その3人がそろって上下動。相手をオフサイドにかける練習を繰り返した。

 ▼ボックス型

 06年W杯のジーコ監督時代は4-4-2が基本。中盤の4人は2人が攻撃的で残る2人が守備的。ボックス型(四角形)に配置された。サイドバックは一方が上がれば、一方が守備に戻るということを徹底。DFは状況によっては3バックに。相手によって3-5-2も使用。

 ▼4-1-4-1

 10年W杯での第2次岡田体制は、当時のトレンドにもなっていた4-2-3-1を基本にしていた。だが、W杯直前に中盤の底に守備的な選手(アンカー)を1人置く4-1-4-1に変更。