5試合ぶりに勝ち点3を奪う要素はそろった。山形は29日、アウェーで16位清水と対戦する。勝ち点4、得失点差もマイナス5で並ぶライバルの弱点を、清水から期限付き移籍中のDF高木純平(32)が指摘。クラブ間の規定により出場できないが、古巣からの勝利を仲間に託した。ファーストステージの折り返しが近づき、負けられない一戦だ。

 1カ月前まで清水の一員だった高木純は、負傷離脱中も古巣の試合を常にチェックしていた。山形は4月の公式戦5試合勝ちなしだが、相手もリーグ5連敗。「自分がいた頃よりチーム状態は悪い気がする。1人1人が空回っている感じだし、チャンスだと思う」。敵将大榎監督のスタイルや選手の特長を知り尽くす男は、勝利へのポイントを新天地の仲間に伝えた。

 <1>サイドの守備不安

 清水は右サイドバックの三浦と犬飼がそろってケガで離脱。守備的MFの河井と攻撃的MFの枝村が代役を務めた最近2試合は、計5失点と崩れた。高木純は「ガンガン来るタイプを嫌がるから、サイドで仕掛けていいと練習中から声をかけた」。石崎監督も「相手は4バックだから、システム的には攻略しやすいかもしれない」と話した。

 <2>中盤の主力3人が不在

 主将でボランチの本田が累積警告で出場停止。「タク(本田)が出られないのは大きい。球を散らす能力が高いから、いないとボールの落ち着きどころがなくなる」と分析した。開幕スタメンだった八反田と村田も負傷で欠場濃厚。攻守両面において、3人の穴は大きいと見ている。

 ジュニアユース時代から過ごした清水で出場機会を失い、恩師の石崎監督率いる山形にやってきた。右足の故障も癒えて25日から全体練習に合流しただけに「死ぬほど出たいですよ」と本音も口にした。歯がゆさを抱えながら、やることはやった。「清水に恩はあるけど、とにかく勝ってほしい」。ピッチに立てないメンバーの力も結集し、4試合ぶりのゴールでライバルを蹴散らす。【鹿野雄太】