鹿島は8日、茨城・鹿嶋市内で会見を開き、本拠のカシマスタジアムに整形外科医院「アントラーズスポーツクリニック」を併設すると発表した。

 東京医大の山藤崇チーフドクター(39)ら、鹿島のチームドクター6人が輪番制で診療。

 これまでに蓄積していた高度スポーツ医療のノウハウを、クラブ自らが地域に還元するのは日本初の試みという。地元の医療過疎を食い止める役割も担い、クラブスポンサーの総合商社イービストレード社や県の企画部事業推進課と連携し、約4億円をかけて8月初旬に開業予定。場所はスタジアムの6ゲート前になる。

 世界最先端の機器が設置される予定で、靱帯(じんたい)や筋肉など軟部組織を調べるMRI(磁気共鳴画像)検査装置は、トップクラスの3・0テスラ(静磁場強度)を誇る。従来の検査では見えない損傷なども発見できるといい、鹿島の選手も利用する。スタジアムに隣接することで、これまで負傷した時は病院に向かっていたが、試合中に負傷した場合、すぐ検査を受けられることになった。

 事前調査で、車で5分圏内(半径約7キロ)には1日400人程度の利用想定者がおり、開業後の患者数は半分の1日200人を見込んでいる。クラブは入場料、広告料、放映権などライセンス収入に続く事業収入の第4の柱と考え、06年にスタジアム内に開設した「カシマウェルネスプラザ」への波及も期待した。

 鹿島の井畑滋社長(63)は「既にスタジアムで提供している健康、文化、情報発信に続き、医療の分野でも地域に貢献したい」とあいさつ。日曜・祝日と試合開催日を除く日に開院予定で、週3日ほど診療を担当する山藤チーフドクターは「スタジアム内にスポーツクリニックができるのはJクラブで初めて。我々にはJリーグが始まる前から蓄積してきたデータがありますし、多くのタイトルに獲得してきた自負があります。最新の医療知識を地域に還元したい」と話した。