山形が川崎Fに引き分け、3位を死守して決勝トーナメント進出に望みを残した。後半9分、FW山崎雅人(33)が、クロスを頭で合わせ、今季初得点となる先制弾。後半19分にこぼれ球を相手MFエウシーニョに押し込まれて追いつかれたが、山崎の復調は、得点力不足に悩む攻撃陣に大きな力となりそうだ。

 頼れる男が帰ってきた。リーグ松本戦(4月18日)以来の先発に燃えた。後半9分、MFボムヨンが左サイド深くから上げたクロスを、山崎が頭でねじ込み待望の今季初得点。「ボン(ボムヨン)がいいタイミングで上げてくれた。ふかさんようにだけ気をつけた」。スタンドへ走って、喜びを爆発させた。

 先発に飢えていた。昨年は主将を務め、36試合4得点でJ1昇格へけん引したが、リーグ戦の第7節からはベンチを温めていた。「サブ組はコンディションの面でも難しい。自分の良さを見つめ直す必要があった。守備に追われていた。自分の良さが出せてなかった」。前線からの守備に追われすぎて、裏への飛び出しが消えていたが、約1カ月ぶりの先発で積極性を取り戻した。

 今季初の組み合わせでも、山崎本来の持ち味である守備面で力を発揮した。「バン(万代)と川西とは初めてやったけど、守備の負担が減った分、攻撃に回せた。得点して攻撃は自信になったが、もっとハードワークできる」。この日も、2列目から積極的に相手を追い回して、チャンスを未然につぶした。石崎監督も「DF前線からボールを追い掛けてくれている。(攻撃面でも)いいタイミングで裏に飛び出せていた。山崎のいいところが出ていた」と評価した。

 後半19分に追い付かれ、勝ち点3は逃した。それでも3位を死守し、決勝トーナメント進出の可能性は残している。山崎は言った。「自分の得点より、どうしても勝ちたかった。悔しい方が大きい。次にチャンスがあれば」。山崎の復調は、得点力不足に苦しむ攻撃陣へのカンフル剤となる。【高橋洋平】