東京が首位戦線から大きく脱落した。序盤から名古屋を上回る試合展開。後半28分のDF森重が与えたオウンゴールでの失点が、最後まで重くのしかかった。残り6分の時点で、相手に退場者が出て数的優位に。終盤にかけて仕掛けた猛攻で、相手の倍以上となる11本のシュートを放ったが、ことごとく相手GK楢崎の正面を突き、運にも見放された。

 3連敗で優勝が大きく遠のき、日本代表FW武藤嘉紀(22)は現実を見つめた。「難しい状況になった。今は上を見ずに、1試合1試合勝つこと。そうすると、リズムが生まれてくる。先を見過ぎずにやっていきたい」。今季8ゴールでチームの得点源である武藤が、今季初めて中盤の左MFの位置で起用される“奇策”に出た。ゴールから距離はあるが、求められたのは「前に生まれたスペースに顔を出して攻撃に参加すること」。加えて、後半3分には約35メートルの位置から強烈な右足ミドルシュートを放ち、圧倒的なパンチ力を見せたが3戦不発となった。

 最終段階に入っているマインツ移籍に話題が集中している中、「全員で守備からもう1度入ってやっていかないといけない」と、今は目の前の勝利に飢えていた。【栗田成芳】